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光の春の空虚
ここ二三年の変化時期が終わり
落着きを取り戻した、ある早春の午后
もう、新しいことが動き始めているか知れないが、
まだそれを感じ取れない、空虚さを感じる時期。
冬枯れの風景に、ただ寒椿だけが赤い彩りを着けている。
日々強さを増す、光の春の中、
期待と不安が、交差して胸をかけ巡る。
「ねェ、今度はどんなドラマを見せてくれるの!」
「どんな冒険に連れていってくれるの。」
と、心の奥底から聞こえてくる少年の好希の声。
また別の所から、無造作に否定する思い。
若い頃の「空虚」という苦しさの思いでが、
現れては消えていった。
ここに三年つついた、激動とまでは言えないが、
僕にとっては大きな節目の事柄が終わり、
平和さを取り戻した早春の午後。
まばゆい窓越しの光を浴びながら、
夢見る少年と
まだ見えぬ不安を感じる臆病な僕と
やる前からあきらめているとし老いた私が、
次々と現れては消え、消えては現れ、
苦しい混沌を感じた。
2006/2/3 Mamoru Muto
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