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   谷という友人へ

おお 私の谷よ 私の友人よ
君は学問を捨て大学を去った
この世の悲惨の極へと向かった

おお 谷よ 私の友人よ
君は 現実へ 己の奇形化された肉体と
精神をぶつけ 闘いを挑んだ
 
おお 谷よ 私の友人よ
君の疲れ切った精神と肉体は
砂漠の上に横たえ
今 一時の休息を得ようとしていた

寝むるがいい私の谷よ 私の友人よ
日は 明日また昇る
1976




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   私はアナキスト

私はアナキスト
無産なるもの、未来永劫に夢見る人。
北方より、寒冷なる候の便り聞けば喜び
南方より、落としめられた人々の怨の叫びに心踊る。
私は精神のアナキスト、常に飢えたるもの
どん欲に夢をむさぼり食うもの
              1976以前と思われる




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   私は誰

人 人 人 人 人 人 ひとひとひとひとひと 人 人 人 人 人
ひとひとひとひとひとサラリーマン サラリーマソ サラリーマン サラリーマソ サラリーマン 土工 土工 土工 土工 土工 土工 土エ
飲み屋の女将 飲み屋の女将 飲み屋の女将 飲み屋の女将
身体障害者 身体障害者 身体障害者 身体障書者 身体障害者
胎児性患者 胎児性患者 胎児性患者 胎児性患者 胎児性患者

海 海 海 海 海 海 海 海 海 海 海 海 海 海 海 海
漁師 漁師 漁師 漁師 漁師 漁師部落 漁師部落 漁師部落 漁師部落
お稲荷さん お稲荷さん お稲荷さん お稲荷さん 内海 内海 内海 内海
丘の上の公園 丘の上の公園 丘の上の公園 丘の上の公園
桜の花 桜の花 桜の花 桜の花
ハラ ハラ ハラ ハラ ハラ ハラ ハラ ハラ ハラ ハラ ハラ ハラ

貴女は 貴女は 子供をおぶって来て 子供をおぶって来て
東京に帰るのね 束京に帰るのね 帰るのね 帰るのね

丘の上の桜の花がハラハラハラ
海の見える丘の上の桜の花が ハラハラハラ落ちてくるのです
 
私は誰 私は誰 私は何者 私は何者 何もの

1977




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   葬式

葬送の曲が天に響きわたり
わたしは狂者のように脅えた
ゆるぎない狂乱の日々を夢見てきた私は
もはや遠い過去へと去ってしまったことを知った
そして 私は私の幻の中に住もうと決めたのだった
1977/9




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   僕は車の運転手
    トラック 毎日飛んで廻る運転手


私の祖母
89才にて大寿完ういたしました
そして
葬式が小さな田舎の村上げて出されたのです

兄弟親戚縁者一同に集まりて
今何しているのかと
生活状況の説明会
おっとその席

僕の母
ねっからの農婦でございまして
申しますに
おまえの服装は流行後れ
車一台も持たぬはおまえだけ

元 村一番のエリート大学生
今 出世一番後れの村一番の能無し
と 皮肉なお言葉

まずは 職を定め
車の免許を持ち
次ぎに家を建て
自家用車の一台も持つこと
これ 大日本市民としての必要条件
と ごもっともな ご説教

クソ食らったら死んしまえ
一昔前の流行歌を思い出さずには居れまいて
              1977




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   踊ること
    果てしなく遠方に去った恋人へ


東の空に太陽が昇るとは限らない
羊水をたたえた海たちが 悪意を持って
僕を呑み込もうとしているのかも知れない
    
   踊れ踊れ
   激しくそして優しく
   僕らの胸を打つ鼓動のごとく
   踊れ踊れ
   逞しくそして軽やかに
   生命の泉は果てしなく深く
   そして 枯れることはない
         
踊れ踊れ
 草達が月の光りの中で囁き合う時
 僕も風に誘われて踊り明かそうか
        
 僕は 笛を奏でる虫
 詩う風
 舞う月の光り
 そして 不滅

1977




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  ある日、絶望という言葉を聞いた。

  ある日、絶望という言葉を聞いた。
私はうれしさのあまり、泪がとどめなく流れて来た。
何となつかしい言葉であるか。
何と美しい言葉であるか、なんと新鮮であるか。

  久しく忘れていた、美しすぎて、心の隅で泥まみれになっていて、もう死んでしまったかのような、絶望という言葉は、変形し、ゆがんでいた。
  その上に、夢という言葉のアマルガム化粧を着けていた。
だって、そうしなければ、絶望という言葉も変化しつくし、言葉の形を留めなかった。

  ある日、私は絶望という言葉を聞いた。私はうれしさのあまり、とどめなく泪を流した。
                           1976~7 頃




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     朝日

暗い夜の後には、朝日が来ると
  君が教えてくれた。
私はまだ朝日を見たことはなかった。
  青い昼と 薄汚れた夕日と
  暗い夜しか知らなかった。


長い夜の後には、眩しいばかりの朝日が来ると
  君がいつも言っていた。
私は朝日をまだ見たことはなかった。
  君を不安がらせる言葉しか言ってやれなかった。


暗い夜の後には、美しい朝日がやってくると
  君は信じていた。
そして、私達の家に朝日がやって来た時、
  君は居なかった。

けして君が悪いのではない。
  ちょっとばかり夜が長かっただけなのに。

                           1976~7 頃




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  君は風になれるかい。

君は風になれるかい。
その風さ。
ほら、窓を開けてごらん、
戸口をガタガタ鳴らしている風さ。

毎年、この街のとんがり山から、
木枯らし達が地面に茶色のベットを
作ってしまった頃、吹く冷たい風さ。

秋の嵐さ、
春のそよ風さ。

ほら耳をすましてごらん、
風たちのたわごとが聞こえるじゃないか。

                      1976~7 頃




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 ひと、ひと、ひと

人、人、人、人、人
ひとがとおる。
    みぎ
     の
まえの ぼく のうしろ
     の
    ひだり
  を 人が通る。


  人人人人人
  人が通る。

     右
   前 僕 後
     左
  を 人が通る。

人、人、人、人、人
ああ、人人人人人。

                      1976~7 頃




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  僕は風車を見ました。

僕は風車を見ました。
逞しい夏雲を背後にひかえ、
カラカラと回る風車を見ました。

風がやってきて云いました。
「オイ、風車よ!お前は俺がいないと動けないのだ。
だから、お前は俺の家来だ。今後、俺に従え。」
といいました。

風車は「いやだ。」といいました。

風は「覚えていろ。」といって去っていきました。

それから、村々に嵐が来ても、台風が来ても、
風車のところは風が吹きませんでした。

村人は、風車を壊し、薪にしてしまいました。

                    1976~7 頃




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  友人へ

悲しみを唄うのはよそう。
雨の多い土地柄だとかいって
切れた三味線のような、しみったれた歌はよしだ。

春先には、モウモウと
砂ぼこりを上げて舞う、
この土地の季節のように、
おおらかに、激しくあろう。

お前が、一度や二度、
女に振られたからといって、
メソメソするのは止めときな。

精神病で入院していた外の友人は
第二の戦いに旅たった。

南の土地の不具者達は
嬉々と己の行動を開始したぞ!

友よ。
僕は悲しみをことさら取り上げ
唄うのは止めた。

                   1976~7 頃




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 都会

なまり色の
いかにも、私は機械と、
言わんばかりの電車に、
紺色の背広のサラリーマンどもが、
澄まし顔で、吸い込まれて行く。

ターミナル駅の前の
地下30mで、
今日も、故郷を忘れた出稼ぎ者どもが、
疲れも知らず、くそ真面目に
泥の中を這いずり回る。

埋めて地の町工場。
自動車運転手は花嫁のために
500万円の家を買うんだと、
夜八時まで働いた。

プチブルどもが。
今や都会は、プチブルの天下。

                   1976~7 頃




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 思い出

私がまだ幼かった頃である。
私の村に一人の狂者がいた。

彼は時々私の家などにやって来て、
暇な人を相手に、歌を唄ったり、
小話をすることを楽しみとしていた。

ある午後であった。
彼が私の家にやって来た。
家のものは、またやって来たと言うふうで
お茶などだし、そさくさと野良仕事に行ってしまった。

後に残されたのは、僕一人である。
彼は人が聞いているともいないとも気にせず、
唄い出した。
「♪ 船着き場、
  村の入り口は船着き場~
  ・・・・・・・・ 」
                   1976~7 頃
 村の主の家の先代の当主だったと思う。不思議な人、楽しい人として記憶の片隅に残っています。精神科に入る前の時期だったのではないでしょうか。




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 無題

輝ける陽は西山に落ち
青ざめたる月がますます光の矢を地上に放ちはじめ
白い聖者達の目覚めの時を向かえた。
疲れを知らぬ人々がどん欲ばりを終え、
淫しつな欲望へと我を忘れんとする時、
地上を埋めつくせしアスファルトは割れ、
一条の水とともに這い出したるものは
古代の神々や悪神達。
うたげの準備である。

                   1976~7 頃




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  Viba吹っ飛ばせ

Viba吹っ飛ばせ
 そこら辺にはうじょうじょと
Vibaかっしばせ
 プチプチプチの小太りどもを
ケガするな、ケガさせるな、警察だたなるな。
 なんじゃこれはプルプル、プチプチ
 安全主義。

ケツに安全、前に安全の札をして、
更に家に二重三重、更に更に裏口にも
窓に、煙突まで安全弁、安全カギ。

 プチプチ、ブルブル
この世は、ブチプチ天下だ
 ふっ飛ばせかっ飛ばせ。

Viba吹っ飛ばせ
 そこら辺にはうじょうじょと
Vibaかっしばせ
 プチプチプチの小太りどもを
安全第一 「+」のマーク
 ケガするな、ケガするな、警察ざたになるな。
 ・・・・・・・・・・・・
胸に勲章、自慢話。
 あの頃一番苦しかった。
 家から米送ってもらって、
 一家自立した、小成功者。
                  不明1977頃か




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   夢の中で

サーカスがやって来た。
僕の村にもやって来た。

えェ、僕の家で小屋を張るとよ。
それは困る、絶対困る。
と、僕の親父は必死に反対。

オロオロと、内は今夜は葬式で、
えェ、先日死んだ姉の葬式で、
年の頃は、生娘も生娘、女もこれからが花、
つぼみもつぼみ、17歳の娘が、
一昨日突然、脳の病気で死んで・・・
葬式出さなくてはなりません。
高校の同級の女生徒が
花輪もってやって来ています。

団長はそんなことは、有無も知らずといった調子で、
乗ってきたトラックを家の前に着け、
どんどんと、テントやら、動物やら、団員達を下ろします。
あわわ、これは困った、大いに困った。
日も暮れた。葬式葬式とオロオロする親父。

とうとう、家の近くの山のふもとに
縦縞の大きな白黒の幕を張り、
中に線香立て、灯をともし
写真をおいて、真中に。
その前に座り込む親父、
そばには女生徒も花を持って。

とうに夜も更け、家を占領したサーカス団は
ドンチャン騒ぎの真っ最中。

             1977頃





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 今日は何もせずに空ろに過ごした。

病気のわけじゃない、仕事を休んでしまった。
唯、うろうろとするだけ。
煙草を何本も吸ってしまった。
思わしか、電話のベルがなったうな気がした。
いや、それは思い過ごしだ。

あの女ひとの一句一語に驚く私。
 「ゴメンネ」の一言で全てはすむのを
ああ、今日は一日無駄にしたした。
 「ゴメンネ」の一言ですむのを。
                1977頃か




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 私は貴方の優しさなどほしくない。

私は、貴方の優しさなどほしくない。
そんなに電話をかけないで、
私は知っている、貴方の瞳にはもっと外のものがうつるべきことを。
恋人のように貴方は振る舞い、嘘の言葉など欲しくない。


いつか貴方は「僕は好きか」と尋ねた。
私は答えなかった、そんなの決まっているから。
そんな優しい貴方が恐かった。
誕生日のプレゼントも、何十枚のものラブレターも、私は欲しくない。
私は知っている、貴方の瞳の奥に光るものを。
                      1977頃か




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   決意

父よ。
16の歳より、出稼ぎ者であった父よ。
幼い日に、反抗者の僕の我ままに、顔を震わせ怒り、真冬の雪の中にほおりだした父よ。
年のうち半年は顔を見せずとも、正月は帰って、なけなしの金でピーナッツ豆とミカンを買って家族の団らんを持とうとした父よ。
姉の突然の死以来、弱くなってしまった父よ。

高校の反抗期に、三年間顔を見ることも嫌だった父よ。
その土方服が、そのひ弱な肉付きが、とうとう僕は反抗さえ出来なかった。
  僕が大学に入ったら、更に弱くなり もう働くこともないから、家で鶏の世話でもと言ったら 流れ作業工場で働いたほうがいいと言ってまた働き始めた父よ。

今は近くのゴルフ場で働いている父よ。
僕は貴方の生き方を捨てます。僕は僕のために生きます。
ああ・・幼い日、僕の真冬の雪の中にほおりだした貴方が懐かしい。
                      1977頃か

──────────────────────────

 今、考えると父親のことずいぶん誤解してそう思いこんでいたかも知れません。彼は彼なりに幸せだったのだと思います。僕が大学に入った頃から、急に弱くなり、五十代で痴呆になり寝込みました。
 ただ困ったのは元気な強い父親なら、思い切って反抗できたのですが、病気の父親だと困ったです、本当に。




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  循環機能

観念ではなく 物ではない
命の宿ったものたち

夜昼なく
仕事場でも 行き帰りの電車の中でも
悲惨の真中かでも
喜びの中でもかでも

時に静かに
時に激しく
 
今日は優しく
明日は苛立しく

音を刻むものたち

廻れ廻れ
命の泉

けして 枯れることのなきもの

78 Mamoru




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 悲しみの王の眠りの記述

天に鐘が鳴った
青い馬に乗った騎士は身体に五十もの傷を受けていた
彼は幾度も処刑された
しかし 彼は悲しみの鐘に幾度となく生き返させられた
彼は悲しみの兵士であったからである
青い太場が東より昇り 幾度となく西に沈んだ
悲しみの鐘が世界の隅々まで聞えていたからである
しかし
天に鳴った鐘は、悲しみの葬送の鐘であった
彼はもはや 処刑されることはあるまい
変革の王が 深い森に隠れてしまったからである
蔦の這う館の中に 王は静かに眠りについた
死んだ故ではない
王は死ぬことはないからだ
騎士の目を濡していた泪も 目の奥に沈んだ
失った故ではない
泪を流さなくなってしまったのである
白い太場が東より昇った
世界は白い光と白い砂漠となった

1978/7




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 夢の記述 世界の終わり

世の中はある規制が暗黙の内に働く
コンクリートのビルの中に人々の生活を押し込められた。
木造の建築物や今までの旧市街にはひとつの禁忌が働く。
徐々に徐々に人々は知らず知らずの内に、コンクリートとアスファルトの中に生活することになった。
市民という人々と、不具者、白痴、不道徳ものは、市民にあらずと人々の回りから姿を消すこととなった。
その世界ではある噂が流れていた。それは噂だけで実際に見たのはいなかった。
古い建物、古い街街は破壊されていると言うこと。
それは絶対的な状況、必要により実行されていると言うこと。
この世界はあるものよりの侵入を受けていること。

私は使命を受けていた。人々より望まれた使命ではなかった。
使命という言葉は正確ではない。ある内的欲求と言ってもまた正確ではない。
私はコンクリートの中より飛び出さなくてはならなかった。
夜、こっそりドアを開け、外に出た。人気のないアスファルトの道が続いていた。
明け方、古い街々に出た。元知っていた街はそこにはなく、基礎の石や、木材の破片やガラスが散らばっているのみであった。

                             1979 7/2




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  めくるめくような渦巻き

誰だ
  ゴーコト  ゴーコトコト
  ブーン ブーン
微かに何か揺れるような物音に
私ははっと目を覚ました。

時計は午前一時半を指している。
終電車はもう終わってないはずだ。

 ゴーゴー ブーンブーン
といった、機械音にも似て
それにしては、巨大にして生命あるものの
血のあたたかみにも似て
 ゴーゴー ブーンブーン
と、下の方より聞こえてくるのは?
私はこの音のとりこになっていた。

すると
「英貞さん」「えっ」と
私を呼ぶ声がする。

彼女は
「美保と申します。主人より貴方をお連れするように言われました。」

「えっ」と
丸く見開く私の目の前に
10cm程のブルーのスカートにブルーのスーツを着た
髪の長い女が立っているではないか。

「どうぞ私の後について来て下さい。」
といったかと思うと、姿は消え、
私は中空に立っていた。

そこには巨大な渦巻きが、ゆっくりと廻っているではないか。

                      不明 1980頃か




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     子供達よ

 私に子宮がいつ宿ったか知らぬ。
 陣痛とおぼしき痛みが、私の全身を戦ふるわせはじめた。
 痛みの後に来る空虚と不安定さ。
 私はとりとめもなく、テレビのドラマにしがみついた。
 痛みの周期は短くなってきたようだ。
 私の思考は、もうない、ないはずだ。
 全身が機械と化してしまったからだ、その筈だ。

 君と舞った空の色を思い出した。
 君が私に入り、私は今、子供を産む。
 でも、これは貴方の子じゃない、私の子供。
 貴方は私の子供のための単なるもの
 貴方あなたは貴女あなた。
 貴方あなたは女。
 女は君。
 君は世界。

 今日の麦酒は、全くからい。
 紙、紙、カミ、カミ、神。
 紙は、子宮・・・・?
 紙は、子宮に産まれた異物。
 紙は、異物を予想しえたか。

 子供達よ、今私の胎をかき回す子供よ。
 貴女の子供よ。私の子供よ。
 子供よ!子供も達を、私を異方の世界につれていってくれ。
 雄々しくはばたいておくれ。

                      不明1980年頃か




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  Let's Dance  皆で踊ろう

目をつぶって、グルグル廻ってごらん
そして、目を開けるんだ。
ほら、家が電信柱が廻っている。
空だって廻っている。
だけど、通行人は踊っている。
自動車も踊っている、風に揺れる木の葉も踊っている。
これが踊りだ、君と一緒に廻ろう、そうすれば踊れる。

目を閉じて耳を澄ましてごらん
色々な音が聞こえる、それに合わせるのだ。
それに体を合わせるのだ。
              1980以降だと思います




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─ 番外 (未完) ─
童話 風にもらった勲章

<雪が降る>
大寒おおさむ小寒こさむ 山から小僧が下りてくる。
雪はどこにゆくのか。

急いで大人になるまい。
そんなに急いで何になる。

運転手。
土方、死線をくぐった人

1977頃か

「風にもらった勲章」というタイトルで何個か書いたはずですが見つかりません。最初は鎌倉の極楽寺に住んでいた、隅山さんという絵描きのおばさんの家に行く途中で思いついたと思う。「風にもらった勲章と洒落てみた」とか言う一節があったと思う。73頃の話です。自分を誉めてやりたかったからですが、心に吹く風とそんな気持ちを表したかったからです。僕はこの勲章だけで生きてきたと思う。だから覚えているのですが、いつも書き初めるのですがまとまらなかった。  

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