思い出すまま - No70 / prev top next

 ───── 思いつくまま ─────  
 
 雪
 田舎のお袋から電話がかかってきた。今年は雪が多いと言う、35年ぶりのだと言う。どのぐらいつもった、と聞くと。一丈はある、と返ってきたが、突然「丈」と言われてもピンと来ない。兄は腰にロープを付け屋根の雪下ろし中とのこと。・・・電話をおいたら、小さい頃の大雪の風景が次から次ぎと浮かんできた。
 一丈とは10尺、約3メートル、あるある大雪となれば家の回りや道路の端は雪かきされた雪で高くなり、5、6メートルにもなる。35年ぶりと言えば僕がまだ田舎にいた頃の大雪と言うことである。鉄道も、3日ぐらい止まっていたと言う。
 冬が寒いのは困るけど気持ちが引き締まり気分的にはなかなかなものがある。ずうっと暖冬が続いたのでどうも冬と言う感じがせず違和感を感じていたのでちょうどいい。田舎とは桁違いだがここ上野原でも高速道路が止まり、僕も国道20号の大渋滞に10時間閉じ込められた。ほんの5~6kmを通過するのに10時間。県外車が皆下に降りてきて、チェーンをはめていない大型車が坂道で反対者線も塞いでスリップしている。除雪していない裏道を通ることは出ない。こうなったら諦めるしかない。(↑え・星野修三) 年に一度ぐらいは仕方ないでしょう、会津の豪雪に比べたら、桁違いの雪の量であるし。 
 

 富士山大噴火

 最近、富士山の地下でマグマの移動を示す長周期の地震波がしばしば観測され、政府も火山の専門家による委員会を召集したと言う。
 有明の国際展示場の展示ブースの設営の仕事の休憩時間などには世間話の花が咲く。
 「富士山が噴火するするそうだよ。ニュースでいっていた。」「三宅島も富士火山帯だし、同じ富士火山帯の浅間山は時々噴火しているし、今年あたり危ないかも知れない。」
と僕が言い始めると、突然、傍に居た栲さんが大きな声で、
 「俺、富士山噴火の夢を見た。それも昼間!」
廻りで、お茶やコーヒーを飲んでいた皆が栲さんのほうを向く。聴衆が出来て調子が出てきたか栲さんは話しはじめた。
 「真昼間夢見たんだよ、地鳴りとともに富士山が大爆発して、黒雲がもくもくと上がり、空は暗くなり、雷鳴の何倍もの爆発音が廻りに響き渡った。俺は、山のてっぺんから立ち上る黒雲のほうをなんとはなしに見上げていた。すると黒雲の中から巨大な仁王様が姿を現し大きな目で俺のほうをにらみつけた。思わず、『すみません』と言って地面に平伏した。気づくとなぜか除連を持って土をならしている。廻りを見ると何千人もの人が同じく土をならしていた。」
すると又別の奴が付け加える。
 「富士山の形変ったらどうしよう。」
 「東京にも火山灰降るのかな、この前降った雪のように。」
    ・・・・・・・・
 そろそろ富士山も噴火してもいいかも知れない。その時は皆で総懺悔いたしましょう。 以上。 
 

 ブラジルの田中敏行君から来た年賀状と写真。

子供が大きくなるのは早い。義父の助けで家を建てたとか敷地が4000㎡。半分は原始林として残す、と書いてありました。うらやましいね。新住所は下記です。
  Estrada Joao Penteada Rocha 240 Jardim das Colinas Embu-SP Brasil CEP06840-230
           5 001-5511-494-3334    
 

 仕事は遊びのように、遊びは仕事のように真剣に

 アルバイトの大工仕事が忙しくなったりして仕事に追いまくられて考える余裕がなくなったりすると上のフレーズを思い出すことにしている。何でもそうですが、慣性力と言うものがあって日常と言うのは、真綿で締め付けるように人の自由度を縛り付けて行くものです。だからいくらやっても専業でなくアルバイトなのです。
 この大工仕事、僕と同じ立場の人も多く、それでは金にはならいが工藝社と適当な距離を保てば、なかなか居心地がいいので困っています。「十年以上はやるべきではない」と言う信条を僕は持っているのですが、それに反するのだが、アルバイトだからその適用外だと、その居心地の良さに勝手な理屈を付けている始末です。
 若い頃は一つのことをやると、飽きる。十年もやればやれることはやり尽くし飽きて、質の異なったことを始めることになる。でも、四十過ぎた当たりから違うんです。社会的なつながりが大きくなって、自分の欲望の原理だけで動けなくなってしまったのです。新しい原則を見つけて行かなくてはいけないのだが、なかなか見つからない。変化の加速度より慣性力のほうが強くなって。
 そこで、「遊び」と言うことがキーワードになるですが。「遊び」とは決して軽いもの、いい加減なことではなくて、生きものが「生命維持行為以外の全て」なのだろと深く広いことだと思います。人間が人間になったのは、一番遊んだ生きものだからだと思いまし。生命が30億年生き続けてきたのも、遺伝子の中に一見意味不明な、無駄な要素を数多く含んでいるからだと思うのです。
 まずは無駄な時間を確保すること。目的のはっきりしないことが出来る時間を確保し続けること。きっと新しいものとはその中から発見されると信じているのだが。なかなか見つからない。ゆっくり程々に仕事をし、程々に遊びながらとしか今のところ方法はない。
 話は少しずれるけど、最近「ヒトゲノム計画」で人間の遺伝子の数が以外と少なく、蠅やゴキブリの二倍ぐらいしかなかった。とニースが流れていたけど、これは痛快なことです。人間は特別な存在ではなく、蠅君やゴキブリ君の親戚であると証明されたことです。 
 

 最後に

 ◎今回は寒くて僕の脳味噌も 凍結しているらしく、まったく ワープロの打ち込みが進まない。 他の人も同じなのだろう。原稿の 集まりも遅い。寒いのは嫌だけど 、冬はもともとこのぐらい寒かった ものでいいことですよね。 原稿待ちをしているうち、暖か い日が続くようになった。春は そこまで、やっぱり春はいい。 春よ来い早く来い。
 ◎今回は原稿を寄せてくれたは 以下の人々です。 土田耕三、星野修三、宮尾野史子、 川瀬めぐら、山崎史郎、武藤守。 次回は四月から五月にはいって からです。
 ◎連絡
〒409-0134 山梨県北都留郡上野原町大椚464 tel/fax:0554-62-2333 E-mail;ran1tsu@aol.com 乱蘭通信ホームページ; http://members. aol.com/ran1tsu/ran.htm (ホームページの更新は多少時間がかかります。)