乱蘭通信１７１号・思い出すまま

　株価が二万円を超え、マンション価格が上がり、バブル期に流行したものが復活し始めているらしい。そういえばデレビなどで、３０年前のバブル期の世相を放映することが多くなったかもしれない。

　昔のバブルは、初めは僕も良いことと思ったが、しばらくすると、違和感を感じるようになった。大月にアトリエを借り、そこで過ごす、静かな時間と狂った都会の落差に目眩を起こすようになった。

　郊外の林の中にコミが捨てられた、山奥の谷にも不法投棄の山となると、こればダメだ狂っている。日本全体がおかしいと思うようになった。

　１９９０年前後のバブル景気は、第二次大戦後の日本の頂点であり大きな曲がり角でもありました。悪いことだけではありません、長年持ち続けていた、欧米人に対するコンプレックスの解消でありました。少なくとも経済面では追いついき一部超えたからです。長年優先して来た経済優先社会の終焉でもあります。

　その頃、日本食やアニメなどが世界で注目を集め、日本文化の質の高さが改めて評価されることになった訳です。それは経済以外への認識の多角化に大きな意味がありました。

　歴史的に見れば、どこの国でも同じ、イギリスもアメリカも、経済成長で国が金まみれになって初めて、良識とは何かと問われ、文化や制度の質の問題へと社会的関心が向かったのです。日本も同じ流れを辿っただけです。

　９０年のバブル期の馬鹿さ加減は経験しているので、今バブル前期の様相が多々あるからといって、狂信することはないと思いますが、社会全体が傲慢な天狗になっては欲しくありませんね。

　韓国の地下鉄で整形美容のポスターを禁止する。と言ったニュースをインターネット見つけた。韓国美容整形は行き過ぎ、女性を型にはめて見る、ひとつの差別でしょう。これも民主化のいい影響でしょう。慰安婦問題の異常さまで気付くには更に時間がかかりそうです。

　日本統治は民族の屈辱、日本のやったことはみな犯罪的、というのが前面に出て、それ以上の考察を拒否しているように見受けられます。

　慰安婦の話は、僕が考えるに、旧時代から残る階層社会とそれを利用した日本軍との二重の構造を持っているではないでしょうか。民主化され権利が保障された今日、現在の権利意識で裁くことに無理があると思います。

　父権が強く、旧時代の奴婢といった階層の記憶が残る差別の大きかった時代、青線赤線の娼婦制度が合法であった時代、下層の女性にとり身を売ることは特別なことではなかったのです。また親がそう決めれば、従わざるを得なかったのです。それを日本軍は利用したのです。民間の娼婦宿より少し良い条件を提示すれば、社会的に貶められた人々を集めるのは容易だったと思われます。

　暴力的に集められた、残酷な扱いを受けた。等々は、社会から差別された人々という視点を無視したが故に、残虐非道な日本軍と着色せざるを得なかったからです。更に、日本人と朝鮮人を実際より差別の強調する必要が出てくる訳です。

　力だけでで朝鮮半島を支配することなど出来ません。少なくとも多数派の半島の人々の、賛成もしくは反対しない同意を取り付けなければ、一割の人々が強固に反対したら、半島支配など出来ません。

　政治問題化すると、政治的立場からの主張が強くなり、歴史は着色され歪められます。僕にはこの作られた部分が異常にみえるのです。

　独立後、韓国の歴代の政権は、日本の植民地の時代、朝鮮人が日本人化してしまったことを払拭するため、反日教育、反日キャンペーンを繰り広げて来ました。民主化で権利意識が強くなり、慰安婦問題が浮上したが、自らの社会の構造的問題を無視してしまったと思われます。

　もうそろ「朝鮮人は日本統治時代、日本政府に従順で、治安も比較的安定していた。」という事実に立ち返るべきです。無理な反日という色眼鏡を外すべき時期が来たと思います。そうしないと新たな朝鮮半島は見えてこないような気がします。

　敗戦後、日本もアメリカに従順だった。戦前の日本政府が成し得なかった、財閥の解体、農地改革、自由と民主主義と言った、新た概念に夢を描くことが出来たからです。

　同じことが日本統治時代も起こった、「近代化」という夢です。朝鮮王朝が成し得なかったものです。インフラを整備し、営利企業を導入し、行政組織を整えたからです。更に皇民化政策、日本語教育、創氏改名まで進むのですが、そのひとつひとつを分析し、これからの未来にとり良いものは否定せず、必要ないものは捨てる。再分析が必要のような気がします。

　この時期培ったものが、漢江（ハンガン)の奇跡と言われる高度成長の基礎になった事は確かなのですから。そして今やヨーロッパの主要国に並ぶほどの経済力をつけました。それは世界に対する責任もおもくなったということもあります。

　ナッツリターン事件は旧時代の王朝的支配、差別がまだまだ根深かいという、象徴的示しています。それ故に民主化は必然的な動きです。新たな視点から、出来るだけ多くの視点から、自由に見ることが今必要とされているからです。

　日本人としては、贖罪意識だけで見るのはやめるべきです。国際社会の一員として、対等立場で批判すべきは批判する関係が大切です。

　その前にの朝鮮王朝に原因があるのだと思います。朱子学一辺倒の政治、庶民の活発な活動がない。納税義務ない両班が全人口の四割程もいた。奴婢制度は末期には撤廃されていたが、根深い階級社会であった。男尊女卑が日本より強い社会であった。農業以外に何らかの産業がなかった。等々が挙げられる思います。

　西欧の近代化は旺盛な庶民層の活躍の上に成立した文明です。江戸時代の活発な町人の活躍した日本とは大きく社会構造が変わってしまったのです。朝鮮半島は庶民不在の社会だったのです。

　ヨーロッパの東アジア進出に対して、朝鮮王朝は何ら有効な対策を立てられなかった。王朝に対する失望が、先に近代化に成功した日本への期待と写り、日本支配を受けいれたのだと思います。

　以前、朝鮮王朝の庶民の事が気になり本を探したが、当時の資料が両班と奴婢の記録は比較的多いのだが、庶民の記録自体が少なく、それを分析した本も少ないので唖然としました。朝鮮半島の近代史の問題が分かったような気がした。

　富を蓄積した庶民は新たな産業に投資するのではなく、両班の権利を取得するのに使い、両班層、生産活動をしない貴族層が増えていった。産業の再生産に繋がらなかった。「汗水流して働く事の蔑視」がそうさせたのです。

　緊迫している北朝鮮、どうなるんでしょうかね。オリンピックもあり、予想は困難です。

　僕は軍事行動も仕方ないという立場です。核兵器もあるのですが、北朝鮮国内の人権侵害等々は見過ごしてはならないと思うからです。中国が人権を守る国なら、とっくに北朝鮮は崩壊しています。脱北者を政治難民として韓国に送り届ければ、北朝鮮の政権は持ちません。

　緊張状態が今後続く事は、北朝鮮国内の多くの人命が失われるでしょう。更に韓国の核武装、そして日本への核武装圧力の強化へと進みます。北朝鮮の核武装化は力をもってしても許してはならないのです。

　長期化すると、アメリカの方が心配になります。言うことは過激ですがトランプ政権がアメリカ国内をまとめきれていないからです。

　今年の５月でこの新聞も３０年を迎えます。一つの区切りですので、五月ごろ何かやっておきましょう。おそばの会にしましょうか。

　無理したらこんなに長続きしませんでした。ある時期から力を抜くやり方を見つけたからです。

　ソーシャルメディアが生まれ、僕もフェースブック使っていますが、それに置き換えては出来ませんね。便利だが、ソーシャルメディアの危うさなども見えてくる今日です。