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近頃の年寄り                               
麻梨    2008 12/14
 都内に移動してから一年余り経った。相変わらずMy腰はひどく痛んだりする。(二度と配送の仕事なんかするものか!)首の調子は?と知り合いに聞かれ、「もー、たいへん。」と一言。季節の変わり目、雨の降る前と晴れる前と…腕はビリビリ、神経はピリピリ、頭の中はもややしている。あ~あ~ぁ。眼はともかく視力なんか安定していない様だ。老眼…プラスである。まったく本当に年をとったもんだ。と我ながら思う。
 
 煙草の本数を少なくした。一気にやめられるもんなら…と思ったがなかなか…。意志薄弱なのがたまにキズだ。心臓のキュー、バクバクバク、ク、クッというのは、2年位、強心剤(漢方)を飲んでいたせいか、近頃は、おさまっている。(本当は2粒のところを1粒に、ケチって飲んでいた。何とか成るんだ。)やっぱり、こんなのがあると、まだ若い!とは思っているものの、けっこうビビルもので、これが起きる度に、ありとあらゆる、不安と妄想が頭の中を巡ってゆくんだ…。
 「コータローは、私が死んじゃったら、誰かゴハンをあげるんだろ?」とか、「今、せっぱつまっている、そうじとかやらなくちゃ!」とか、「でも、死んじゃったら税金払わなくていい!(笑)」とか、「嫌っ!私の未来。今は、最低でも、バラ色の未来は私が切り開き、未来も私をにっこり笑ってむかえてくれるはずだ。」とか、「今、同居しているジジ、ババより早く死んだ方がいいのかも知れない。」とか、エトセトラである。死神だぁ~。嫌だ。ヤダ。
 そんな私の様子を横目で見ているのがコータロ君。「母ちゃん、一人でバタバタしないで、俺と散歩に行きたいの。」としっぽをふって、おすわりしている。じゃ、行こっか?と、言うと犬は大はしゃぎなのだ。こいつは、ちゃんと私の様子を見ていて、体力低下を阻止するべく、様子をみながら思い切り、ダッシュしたり、普通に走ったりしてくれる。ホントにイイ奴だ。湯タンポ愛用の季節に入ったわけだが、やっぱりふとんの中で、コータローの枕になっていて気持ち良さそうだ。しかし、ふとんの中で暑くなるとズルズルふとんを引っ張って出るので、私は風邪をひいてしまった。
 
 この2、3日、熱と鼻みずとせき(腹筋が痛い。)で久しぶりに寝込んだ。年末までの大掃除は、第一弾終了時点での休憩といったところで…。熱の下がった今、近所の高齢者ジジィにバカ呼ばわりされたあとだったので、「あ~、良かったバカじゃなかったんだ…。」と安心している所。それしても公務員(おまわりさん)上がりの超高齢のジジィはたいへんだ。以前聞いた話だが、今は、生きてるのが(昔の同僚間で)3割、死んじゃったのが7割だそうだ。こんなのがそばに居たらこっちがガンかなんかになって死んじゃう…。と、思っていたら、また、その人のことを知っている近所のおばあちゃんが、あのおじいちゃんの奥さんが、ガンで亡くなったのよ。きっと寂しいのねぇ。と言っていた。あなたがここに来る前の事なのよ…。と、フクザツな気分。
 
 とにかく、ジジ、ババは大変だ。話をしていると大いにずれ込む。そのマイナス加減に引っ張り込まれないようにしないといけない。理不尽な要求をされて押し切られてしまうのだ。ホントにジジ、ババ中心の思い込みには注意しないといけない。最近、TVでもいろいろ話題となる高齢者達、やれ殺人だなんだと、TVのみすぎであらぬ事を日頃の暇にまかせて考えているのだろう。老化が進むと子供に近い思考になるらしい。ごはんの量も減るし…何度話してもいっこうにわかりが悪い。
 買物に行くときによくすれ違うジイサンは白髪で白髭、天気の良い日、買い物袋ぶらさげて、片手に奥さんの写真を陽にかかげながら歩いている。あとは、まんざいコンビネーション、グゥの88才と85才のおばあちゃんコンビ、やっぱり近くの公園で陽なたぼっこを楽しんでいる。コーヒーを買いに行く途中、前を通りかかったら呼び止められた。“ちょっと寄っていきなさい。”“はぁ、コーヒーを買いに行く途中ですので、帰りにでも寄りますね。”と答え、買いもの済ませて同じ道を通ると、“まだ、居る”声をかけてくれたので、コーヒーを片手に公園のベンチで日向ぼっこをしながら、このおばあちゃんとだべりんぐすることにした。(でも、どうして年寄りにいつも声をかけられてしまうのだろう?)このおばあちゃん達この地元に50年~60年住んでいるという。近所つきあいもそれくらいの長さだ。
 
 50年~60年という10年の間は、年をとっているためのかなり長いアバウト差だ。ここまでくると、どうでも良くなるしい。一人は詩吟のおっしょうさん、もう一人は普通の主婦。おっしょうさんは、今でもバリバリ詩吟の現役、もう一人のおばあちゃんの旦那さんが、だいぶ若かった頃、詩吟のおばあちゃんに入れ込んで、詩吟を習いに通いつめたそうだ。そのおばあちゃん曰く“あの頃夫婦仲良くなかったよ~”とのこと。その頃は、今から何十年前だったのかさだかでないが…つきあいの長さが、つかず離れずで計り知れない。
 普通のおばあちゃんの方は、88才でこの間役所から訪問受け、“米寿のお祝いで¥5000もらった。”と大喜びしていた。でもそのおばあちゃん、コンビにでよく行き合うのだが、お金の計算ができなくなっているのだ。お金大切に使ってくださいね。
 この2人のおばあちゃん達を両脇に侍らして日向ぼっこしている。“あらぁ、少し若めの私は両手に花だわぁ”と言ったら普通のおばあちゃんがすかさず“もう、しおれちゃって…”詩吟のおばあちゃんは“あんた、まだ長生きするのよ”などと檄をとばす。
 
 次に私。“このベンチのうしろに紅白の垂れ幕あったらスゴイでしょうね。”“かしまし娘ですかねー。”一同大爆笑!詩吟のおばあちゃん“あんたも変わってるわね。珍しいわ。”私。“そんな人を特別天然記念物みたいに言わないでくださいね。”またこの二人は笑っている。コーヒーも飲み終わったのでもうお家に帰ります。家にもう一人、年寄りが待っていますんで、どーもお笑いのなごやかな時間ありがとうございました。“はあ、あんた孫みたいな年だねぇ”と二人のおばあちゃん。「はい!まごまごしてられませんので帰りますね。」また、お会いするまで元気でいてください。またね~。と言って私は家に帰るのだ。
 
 スゴイ日向ぼっこだった…。早く私の次元のチャンネルに戻さないと一日の…掃除だとか、洗濯だとかetc.のスケジュールがこなせなくなる。急いで帰ると、金にならない仕事が待っている。ホントに日常の当たり前のことはたいへんだ。そろそろお金稼ぐことも考えなければ…「パートだ、パート。重労働はもう無理だから…時間帯がよくねぇ……」と一人言のようにつぶやく。Ah~。『お得な短期間』の名目にひかれて、駅前でシゴト誌をひっぱり出し、TELを入れた。面接日の決定。“仕事があるといい。”正月だ。正月。
 それにしてもこの不景気。バターetc.乳製品、一時前はスーパーの棚に並んでいなかったのが、最近また店頭に値上がりして並んでいる。年末もおしつまってくると何でも値上がりする。
 
 今の日本。困ったものだ。地球全体も大変なっている。人口67億人。私が子供の頃の記憶では、確か、37億人だった。もう少しで地球人口が二倍になってしまう。考えないようにしよう。とにかく、平和と意識して…。流されない様に…。
 運動は適度に…。ゆっくりと呼吸をして、気持ちを“ら”áらせん状に上に持っていくよーにしよー。と言い聞かせる。
 きっと、じいちゃん、ばあちゃんの時代に戦争と言うものがなかったなら、ホント穏やかな大地が、その上に生きる人々の中にも広がっていたかも、知れない。ホントにキビしい世の中である。はやく“自然の大地の中に戻りたいものである。”

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