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TOKYO RIVERSIDE
多摩川のほとりで
 
 
 一昨年から昨年にかけて、電話を一本とってしまった為に、『なちゅらるなせいかつ』?に突入してしまった。その一年の内の一部をここにしたたることとしましょう。(本当はダマサレタ)
 予期せぬ出来事、というのは、こういう事なんだな。まぁ、川のほとりは、素晴らしい風景である。
 
 「渓流解禁…。」春の山菜とりや、きのことりの時期が過ぎそして「あゆ」
 今までは、川魚の事など、あまり、興味はなかったのだが、日射しが強くなり、暑くなってくると、「やっぱり、泳がなくちゃね。」という気分になる。私の息子、コータローも、顔を見ると「ハァハァ、水遊び!」とさいそくをするのだ。「ん~、こいつもそろそろ泳がさないと…。よし、泳ぐぞ、水に入るのだ。水中メガネ足ひれは、必需品。それと、「水」に「レモン」にドライフルーツの「いちぢく」これは持って行かないとバテルから…。
 「コータロー行くぞ。」さっそうと川岸に二人で出かけていく。足をちょっとつけてみると、「冷たぁい!」17℃~18℃位かな?コータローは、早くリードをはずしてくれい。と言わんばかりにしっぽをふっている。水中へ突き進むのだ。川の流れは今日はおだやか、少し水の中はにごっているけど、まあ、まだきれいと言える。いるいる、山女魚やまめちゃんの小さいの…。コータローの犬かきも見える。大丈夫。ちゃんと泳いでいる。山女魚ちゃん達も20cm位だと、鮮やかに群れて泳いでいる。かわいいなァ。この岩の上から(6~7m以上。)から人が降ってくる。飛び込める渕なのだ。
 水深、現在は、4~5m程昔は8m程だったという。でっかい鯉もいる。流木もいっぱい。あれ?コータローはどこに行ったんだろう?あ~いるいる、流れの瀬を水しぶきを上げながら、走ったり泳いだり。こいつも水を恐がらなくなった。
 こらこら、「つり人」のじゃまをしてはダメだよ。静かにね。コーターローがバタバタ騒ぐと「つれないあなた」になってしまうョ。つり人に頭を下げ、ちょっと流れが早い方へ二人で行く、慣れない早い流れで、コータローの顔がひきつっている。「んー、大丈夫。おまえもたいへんだね。」これで泳ぎがうまくなる。
 
 それにしても、渓流つり人は頑張っている、終始、無言で、川面をながめ、かわいいお魚ちゃんと対面を首を長くして待っているのだ。多摩川は面白い。山女魚、虹鱒、岩魚(こいつはうんと奥にいかないと居ない。)そして「あゆ」これも姿はとても美しい。キャンプ付近の地元の「あゆ師達」来る日も来る日も明け方から夕暮れまで真剣に遊んでいるのだ。話を聞くと小学校からの同級生とか先輩、後輩とか、親から代々、あゆつりが続いているらしい。それもおそらく40歳後半から50代後半位の年令だ。『最近のつり人は、マナーがなっていない!」とも言っている。川が好きで、そこで暮らし、その魚を喰らうことで生きているのだ。笑いながら、「あゆつる奴は、気違いだよねェ。」と…。どうも、奥が深いらしい。この世界は…。この地元の「あゆ師達、個性があって面白い。この仲間達のけなし合いは真剣だ。そこに「あゆ」が居る。お互いにこの漁が始まると「何を言われるかわからないからね。」と言いつつ、人々のつり方、つりのマナーに対してはとても厳しい。で、ないと遊べないのだろう。
 しばらくしてなじみになると「放流だぞ!」と、通知しに来てくれね。「えっ?小河内の放流ですか?」と聞き返すと「違うョ。あゆの放流だ。見に来い!」と、声をかけてくれるのだ。トラックは沼津より来ている。たくさんのバケツに、「カワイイあゆちゃん達。」この多摩川に早く慣れるのだぞ。
 
 ところでこの放流直後出っくわした人物が居た。あゆを放流すると、急激に環境が変化するので、しばらく慣れるまで、あゆが持っている本来の闘争心が薄くなっているのだという。自然がそこなわれると、そこに暮らすものまでえいきょうをおよぼす。
 そういえば先日、川を歩いていて思った事なのだが川の小さなセキを炭のブロックにすればいいのではないかと…。上流のヒノハラ村など、バッサイした木材がたくさん転がっているし、炭焼きをしている方にも会いに行ったが、流通に乗せるのがとても大変とのことだった。炭など、輸入にたよらなくても良いのになぁ…、中国はもう炭の輸出は昨年からCUT!になっているしネ。キャンプしていたあたりのあゆはみんな塩焼きにして食べちゃうそうだ。
 そういえば、子供の頃、母親の料理の本を読んでいて、「うるか」というひら仮名をみつけた事があったが、それは、「あゆの塩辛」のことだった。他の人に聞くと、それは、この辺では、「もう作ることができない。」と、言う。もっと上流の方に行かないと無理。と言っていた。もっと奥の自然の中に住む「あゆ」で作られた「うるか」私はまだ一度も食べたことがない。やっぱり、つりに行かなくちゃだめなのかな?きっと今の子供達は、こんなことを知らないんだろしな。と、思いつつ、自然 天然減少による「幻の珍味」きっと名人達は、自力でつった魚の生命を大事にしているのだろう。
 
 つりざおの出しかたで同じ多摩川でも、どこから来ている人か、わかるそうだ。
 川の漁も、自然環境、漁協との関係でいろいろたいへんそうだ。ここでも改めて複雑なシステムがありそうで興味があるところなのだが…。
 それにしても、「あゆ解禁」になると、あゆ師達は、「かかぁにはおこられるし…」とか、腰が痛い!とかいろいろ聞かされる。
 それとどうも彼等の天敵は、カヌーイスト達らしい…。ずっと眺めていると、カヌーの団体が通ると、やおら「イヤーな顔をしているのだ。カヌーに乗ってると確かに気持ちが良いのだけれど…。日本という島の国土の狭さを知らされますね。
 
 そして、最近のコータロー君といえば、車の河にあっとうされ、少々、落ち込み気味。
 今年も水遊びにどこかに連れていかなくては…。
 一番最初に泳がせた福島の山奥の川に連れていってみようか…。
 二年前の夏の朝。
 そこには、「原人」が泳いでいた…。
 
 みんな! Summer! Are you Ready!
 
 無事に「素敵な夏」を過ごしてくださいね。
 
麻梨  

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