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つゆくさ

月草に 衣は摺らむ 朝露に
     濡れての後は うつろひぬとも

           (万葉集巻7-1351)

「露草の花で衣を摺〈す〉り染めにしましょう。朝露に濡れてその後は、たとえ色があせてしまったとしても」

 

ももに千に 人は言ふとも
 月草の うつろふ心 我れもためやも
                (万葉集巻12-3059)

  「あれやこれやと人は、よくない噂をしております。でも私は、露草のような移り気な心など、決して持ってはおりません」








つゆくさ (あおばな,ぼうしばな,かまっか)  〔つゆくさ科〕

  Commelina communis L.

道ばたや荒れ地にはえる一年生草本.茎の下部は地に横はい、盛んに枝分かれし上半は斜上し、無毛で節は太く下部こは根を出す、葉は2列で互生し、長さ5~7cm、卵状皮針形で漸尖し基部は切形で直接膜質のさやに連なり、無毛緑色、柔かいがさやの縁にはひげがある。夏に葉と対生して包葉に包まれた総状花序(一番下の1枝は普通花は着かない)が包葉外にでて青色花を開く、包葉は緑色、二つにたたまれてぴったりくっつきゆがんだ卵円形て長さ2cmぐらい、先端は尖り、平滑だが両側に散毛のあるものがある。外化被3片は小形で無色膜質。内花被3片の内、上方2片は爪のある円形で立ち上がっていて有色で幅6mmぐらい、他の1片はただ小形で無色。2個の雄しべは花糸が長くやくは花粉を出すが、残りの4個はやくが変形して仮雄しべになっいる。さく果は楕円体、白色多肉だが後に乾いて3裂する。〔日本名〕露草は露を帯びた苧の意味

青花は花弁の色により、帽子花はぴったりくっついた包葉の様によるもので、カマッカの意味は不明である。ツキクサは古名。着草の意味で、花で布を刷り染めしたからであらる。月草と書くこともある。 〔漢名〕鴨跖草。                 -牧野植物図鑑-

 

初夏から夏にかけての花ということで、アジサイにしようかとも思ったが、アジサイは引き合いに出されることが多いので露草にした。今の借家にもあるし、田舎の家にもあった。この花が咲くとすぐ梅雨になる。雨はいい、雨の中で見るこの草は派手ではないが青紫の色が冴え可愛らしい。雨は人の心をしなやかに優しくする。この草は梅雨を呼び込む草なのだ。                       

(まもる)

 

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