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 櫻皮(かには)は、桜の木の樹皮(じゅひ)だと考えられています。桜、特に山桜や霞桜(かすみざくら)などの樹皮は、はがれにくい性質を持っているので、弓や家具などに巻いたり張ったりし、強く丈夫なものにすることができるのだそうです。

 櫻皮(かには)は、白樺(しらかば)の樹皮だという説もありますが、ここでは山桜の樹皮ということで編集します。



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 あぢさはふ、妹いもが目離れて、敷栲しきたへの、枕まくらもまかず、桜皮かにはき、作れる船に、真楫まかぢき、我が漕ぎ来れば、淡路あはぢの、野島のしまも過ぎ、印南嬬いなみつま、辛荷からにの島の、島の際ゆ、我家わぎへを見れば、青山の、そことも見えず、白雲しらくもも、千重ちへになり来ぬ、漕ぎ廻むる、浦うらのことごと、行き隠かくる、島の崎々さきざき、隈くまも置かず、思ひぞ我わが来る、旅の日長み
山部 赤人



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桜皮おうひの薬効
解毒、解熱、鎮咳
排膿作用、皮膚疾患に使われる。



  

桜皮の強さを生かして作られた調度品です。





曲げわっばの抑えに使われる。







やまざくら  Prunus donarium Sieb. var. spontanea Makino  〔ばら科]
 本州中部以南の山地にはえ、またしばしば栽植される落葉高木で高さ7m内外。幹は直立して分枝し、樹皮には横にしまがあり、灰色または暗褐灰色あるいは暗灰色。小枝は無毛、皮目が散在する。葉は有生卵形、長い鋭尖頭、ふちには針状の重きょ歯があり長さ10cm 内外。葉身葉柄は無毛、上面は緑色。裏面は白味をおびた淡緑色。葉柄上部に通常2腺がある。4月はじめ、花は通常赤褐色の新葉と同時に出て、花軸の短い散房花序または散形状の花序を作って淡紅白色の3~5花をつける。花柄は細長無毛、長さ2cm。基部に小さい包葉がある。花軸は長さ2cm内外。基部は鱗片でおおわれる。がくは5.水平に開出し、筒部は円柱形で下部がふくれず。がく片とともに無毛 花弁は5、凹頭、水平に開出雌しべは多数、雌しべは1、子房花柱ともに無毛。花が終って小形の球形の核果を結び、紫黒色に熱して,多汁。
 [日本名〕山桜は山中にはえる桜の意味、さくらの語源は不明.。神話時代の歌の中の「ささくらん、ほきくにさくらん」という語の中から出たものであるといわれる。〔漢名〕桜桃を当てるのは誤り。ソメイヨシノとは、花時に葉がのびること、葉花の各部が無毛のこと、蜜腺が葉柄の上部にあること、がく筒が円柱形で下部がすらりと細いことなどの点で区別出来る。
-牧野植物図鑑-



 萬葉集で新たな草花を探すのが困難になってきました。鼻ではなく、樹皮が長歌に詠まれているのを発見しました。曲がりわっばの抑えに、桜皮は欠かせません。懐かしさもあり裏病日に採用しました。
 正倉院の弓に使われていたり、樹皮ではありませんが伊豆の山桜は浮世絵の版木に使われたりしていることも、採用する動機になりました。   (ま)

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