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枝ぶりの 日ごとに替る 芙蓉かな

きりさめの 空を芙蓉の 天気かな      芭蕉



松が根に なまめきたてる 芙蓉哉      子規



反橋
そりばしの 小さく見ゆる 芙蓉かな   夏目漱石




草とって 芙蓉明らかに なりにけり   河東碧梧桐

                    かわひがしへきごとう


白き芙蓉 あかき芙蓉と かさなりて

      児のゆく空に 秋の雨ふる  与謝野鉄幹




 




 別名、木芙蓉とも言われる。古代ハスの花の美称し「芙蓉」と呼んだので、その対比からの呼び名です。そしてハスは水芙蓉と呼びます。

 芙蓉は中国から持ち込まれた園芸種、源氏物語で玄宗楊貴妃の逸話として出てくるぐらいで、ほとんど和歌には詠まれていません。江戸時代になり、空前の園芸ブームの影響でしょう、俳句などに詠まれるようになります。

 アオイを取り上げた時紹介しましたが、アオイ科の植物で木槿むくげ、立葵、ハイビスカスの仲間です。名前の元になったアオイ、下鴨神社の神紋のアオイとは別の種類。








花 言 葉

繊細な美 しとやかな恋人


11月10日の誕生花

11月にずれたのは、生花ではなく枯れた後も印象的と
言われる「枯れ芙蓉」の方を取ったからでしょう。







 ふ よ う   Hibiscus mutabilis L.   〔あおい科〕 
 
 支那原産の落葉低木で普通観賞のために庭園に植えられるが、日本南部の暖い地方の海岸近くでは野生化している。幹は直立しまた分枝し、星状の毛で厚くおおわれ、高さは1.5~3m位。葉には長い葉柄があり互生し、掌状に3~7つに切れ込み、裂片は三角状卵形で先端はとがり、基部は心臓状で,葉のふちには鈍きょ歯がある。夏から秋にかけて幹の上部の葉腋に柄のある淡紅色の美しい花が開き一日でしぼんでしまう。花の下部に小包葉が10枚ある。がくは鐘状で5片に裂ける。花弁は5個で、基部は互にくっつき、ラセン状に捲き縦に脈がある。多数の雄しべは単体となり、1子房上の花柱は長くとび出し柱頭は5個の耳状の部分に分れる。さく果はほぼ球形でかたくて開出した毛があり、やや薄い5片に開裂し、種子には毛がある。まれに白色品種や八重咲きの品種がある。
 〔漢名〕木芙蓉。〔日本名〕漢名の略である。
-牧野植物図鑑-




 
酔 芙 蓉


 近い仲間で姿形はほとんど同じだが、朝から夕方にかけキナの色が白からピンクに変わる種類がある。お酒で顔が赤くなるのをもしてこの名前がついた。


朝8:00  白い花

昼13:00頃  少しピンク色


夕方17:00頃
濃いピンク色になってしぼんだ。


夕方の花。花の中はこうなってます。





枯 れ 芙 蓉



  






 今回は芙蓉の花の含蓄です。和歌にあまり読まれていないのは、中国から持ち込まれた花だからとか、酔芙蓉と粋な名前の近種があるとかが、新たに分かった。ここで良寛さんと芙蓉の逸話を紹介しましょう。

 人々は詩や書を求めるのだが、難物、良寛さんはなかなか書かない。いつも逃げられてしまう。ある日、花好きの良寛さんは、庭先に咲く芙蓉の花が目にとまり一輪失敬した。それを家主はこれぞ好機と、花泥棒を責め立て書を迫った、良寛さんもこの時はかんねんし「書」を書かざるをえなかった。       (ま)


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