学名はPhragmites communis または Phragmites australis。 Phragmites : ヨシ属、 communis : 普通の、 australis : 南方系の意味。 Phragmitesは、ギリシャ語の「垣根(phragma)」が語源。 |
「難波の葦(アシ)は伊勢の浜荻(ハマオギ)」 |
物の名前が地方によって様々に異なることをいう。 |
「葦の髄から天井をのぞく」 | せまい了見では物事を捕らえることはできないという意味。 |
「すべての風になびくアシ」 | フランス、都合によって節操をかえることを指す。 |
「折れたアシ」「アシによりかかる」 | イギリス、「あてにならない」という意である。 |
「嵐がくればオークは倒れるが、アシは立っている」 | ヨーロッパにおいてアシは弱さと同時に強かな存在とされていた。 |
あ し ( よ し ) 〔いね科〕 Phragmites communis Trinius |
日本各地の沼、 河岸に普通にはえる大形の多年生草本で、 高さ2~3mに達する。ふつう大群落をつくる。根茎は黄白色扁平で長く泥中に横たわり, その節力ら多数のひげ根を出す.茎は硬く、中空の円柱形で緑色、 毛はなく滑らかで節があるが、 節間は長い。茎の分枝はない。葉は2列に互生し(風向によっては片側に寄つたいわゆる片葉のアシとなる) 大形で細長い皮針形で、 長さ50cm 幅4cm程度、 先端は次第に細く尖っている。葉質はごわごわして縁はざらっいている。秋に茎の先に大形の円錐花序を出す。花序は多数の小穂からなり、 初めは紫色であるが後に紫褐色になる。小穂は5個の花で構成され、 細長く尖つている。包穎2枚には大小があるがともに護穎より短かい。花をつける小軸には絹のような花より長い毛がある。第1花の護穎はなめらかで長皮針形、 長さ1~2cmに達するが他の護穎はずっと短かく穎が長くなっている。若芽は食用になる。
〔日本名〕 アシは桿(はし)の変化したものであろう. これをヨシというのはアシが(悪し)に通ずるのでこれを嫌つたからである。〔漢名〕 蘆。 -牧野植物図鑑- |