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           むくむく
 
 
 百万光年の彼方からやってきて、
百万年間、地中深く眠り続けた宇宙生命の種。
ひょんなことから地上に出てきてしまった。

 中越地震とスマトラの大地震。
岩がほんのちょっと動いたので、
固いカプセルがパカッと開いてしまった。




        微かにオレンジに光る宇宙の種、
       地下を流れる川に流され流れて、
       ドンブラコー、ドンブラコー。

        丁度、今から百万年前。
       永い永い旅の末、隕石と一緒に地球に落下したのだが、
       厚い大気に弾かれ、ポォーンと大きく飛んだ。
        そして落ちたのが深い深い大地の割れ目、
       大きな岩がそこに落ちてきて、
       またもや眠り続けることとなってしまった。

         さらに眠ること百万年、星を出てから二百万年。
       ひょんなことから目覚めることとなったのだが。




 「ヨウー、どっこか来た!。見慣れん顔だが?」
とミジンコさんが声をかけた。

 突然、前がパッと明るくなり、地上の川に出た。
波に揺られ、流れの淀んだ所の岸にたどり着いた。


 季節は春。
生きとし生けるものが喜びに歌を唄うとき。


 「おい新米!
土にグイッと根を差し込み、バッと葉っぱを開くんだぜ。」
と声をかけたのは、小さい新芽を三枚広げた栃の実だった。
「うんやってみる。」と宇宙種君。


 でも、おかしいな。おかしいな。
やってはみたけど、何か落ち着かない。

 その時、小川に近づく二足歩行の動物。
突然、その宇宙生物はピョーンと飛んだ。
 この動物の額に着いたかとおもうと、
吸い込まれるように動物の中に消えてしまった。

 「思い出したヨ。栃の実君!
僕は地球の植物さん達とは違うんだよ。
こんな生物でないと、根を張れないんだよ。」
と言う声がその動物の中から聞こえてきた。
 
(つづく・4/15 Mamoru

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