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斜め
世の中を斜めに見る癖がつき
いっこうに直らない。
世界がモノクロの機械仕掛けに見えてしまったとき以来、
横から、斜めから、裏から見ないと、
なかなか信用しないことになってしまった。
やさしい父や、母や、兄や、姉達や、弟との生活の横に、
大きな闇を感じてしまったとき以来、
食べることも息を吸うことさえ、疑いの対象になってしまった。
もう中年も半ばを過ぎ、初老と言われるのももうすぐ、
青春の始まりの小さな絶望を、今でも鮮明に覚えている。
納得することだけしようと決めたその日から、
世の中の流れに流されに来たという小さな自負。
そして、これからも世界を斜めに見ながら、
納得したことだけしてゆけばいいうな気がする。
10 Dec.Mamoru Muto
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