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   台風一過の秋空はどこまでも澄み渡り、
   黄色味をおびた西日が
   色づき始めた柿の実や
   まだ青々としている葉や
   街道沿いに並ぶ、家々の瓦の波や
   せわしく通り過ぎる自動車のフロントガラスや
   行き交う人々さえも
         宝石の輝きに変えてしまいました。
 
   もう、そよ風に変わった南風は
      過ぎ去った夏をなごり惜しそうに
    ハタハタとレストランの旗を
      揺り動かしております。
 
 
        このまま老いてしまうにはちと早く
        単調な日常を幸せと
              満足するには程遠く
        体力の低下や収入の減少や
              何やら不安な雲が広がり
        さりとて、有効な手立ても見つからず、
           唯、日々を浪費するばかり
 
 
   チラチラチラ 光る夕日の反射
   美しすぎる街のたたずまいに
   それとは決してなじめないものがわだかまる。
   漠として、ずうっと先々まで覆っています。
 
        きっと何にも変わらない。
        若い頃、前に広がる
        黒々した闇に呆然としていた頃と。
        唯、違うのは
        ちょっとばかり、闇の色が薄くなっただけかと。
 
2004 9/30 Mamoru Muto

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