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私は誰なんでしょうか。

 
       梅雨の夜空 雲の切れ間に
       背後に漆黒の闇を従い
       少し欠けた月が煌々と光り輝いています。
       星も一つ二つ 二つ三つと見えます。
      
       さっきまで降り注いでいた雨で 
       地上の空気は洗い清められ
       ゆっくり走る雲ぐもは金色に輝き
       殊更に美しさを追加しています。
 
          私は誰なんでしょう。
          私はどこに行くのでしょうか。
 
        幾十年と問い続けてきた問いが
        また、僕に問いかけております。
 
 
       十六才の 大きな月が昇った夜。
       田舎の家の庭から田圃や畑に広がるあたりを
       「僕は何者と」内から起った問いに
       月夜のあまりもの美しさにも手伝って
       何時間もうろつき回りました。
       胸が苦しくなる程でした。
 
         亦ある時は
       真冬の月の美しさに
       高速道路のパーキングエリアに車を停めた時も
        どこからか「私は何者」と言う声が
        聞こえてきたことを覚えています。
 
 
        でもいつも答えらしい答えを
        得られた試しはありません。
 
      きっとこれからも 何度も
      美しい月夜の晩は
        「私は誰」とうろうろすることでしょう。
 
04/6/8 Mamoru Muto

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