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田園のヒマワリ

小牧もみじ

 今年の夏も信州の高原で過ごした、

 と言っても、日帰り、1泊2日、2泊3日と毎週のように高速道路を飛ばして通った。

 もう、通うより住みたいと思う。終のすみかは見晴らしのいい山の上がいい。田園を眺め、浅間山をあおぎ、畑を耕し、種を蒔く。炎天下の草むしりは汗を流したあとのビールがうまい。白い雲が湧き、ヒマワリが咲いている。ヒマワリなど花だと思っていなかったのに今年はじめていいなあと思った。健康で文化的な最低限度の生活にヒマワリはよく似合う。

 しかし、このあたりも新幹線が通り通勤圏なのだそうだ。そういえば田んぼの中に家が建ち、増殖してきている。軽井沢ではクマがでたというけれど、人間の方が増えたために出会うことも多くなったのではないのか。クマにしてみれば人間が出た、といってもらいたい。

 私は別荘ライフではなく農的生活にあこがれている。友人の畑では、大豆、ソバキビ、ネギ、トウモロコシなどを作っている。桃の収穫なども手伝った。朝5時起床、で機嫌は悪かったけれど桃の畑はなんとすばらしいのだろう。つぎはプルーンが実るだろう。

 農作業のあとは温泉に行った。公営の日帰り温泉がふえて安くて利用しやすい。山の中の露天風呂は下界を忘れさせてくれる。生きているだけでいいと思う。日本の平和に感謝したい。有事立法ってなに、わかんなーいと言っていられるふてぶてしさがほしい。農業こそ命の源泉であり、国体を護持し、環境を保全する有事立法だといえば言い過ぎだろうか。日本の食糧自給率は30%を切っている。理屈よりも種をまいてごらんなさい。やがて緑濃い野菜畑になるのは奇跡的だ。どこかに八百万の神がいるらしい。クマもわたしも安心して暮らしたいのはおなじ、安全で自立した食生活を共にめざすことはできないだろうか。

2002 9 27

 

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