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春爛漫 ②

 

朝日に向かって仕事に行き

夕日に向かって家に帰る

雨の日は泥んこになり

風の日は土埃にまみれる。

 

春は爛漫

小鳥の囀りを聞きながら

弁当を広げ

桜の花吹雪の中で

お茶を飲む。

 

2002年の4月は

懐かしい土の薫りのする

久し振りの土木の仕事。

 

ここはまだ木々が残る

都会の外れの高台

農地の区画整理工事

眼下には果てしなく広がる

家とビルデングの大海原。

 

取り残った大根は

直径30cmと巨大化し

「これでもまだまだ食える」と

初老の百姓が笑う。

 

幼稚園の子供達が 

芽吹き始めた林の中から現れ

梨の白い花々の向こう際を

さえずりながら通り

また林の中に消えた。 

 

春は爛漫

土塊と戯れるように仕事をし

夕日に向かって家に帰る。

 

7th april Mamoru Muto

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