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福寿草(元日草)








ふくじゅそう(がんじっそう)〔きんぽうげ科〕
Adonis amurensis Regel et Radd.

国内に一般に野生するが,中部以南では稀れにしか見られず北地に多く産す.草質の軟かい多年生草本で,普通には花車として好んで植えられる,根茎は短くてやや肥厚し,多数の暗褐色のひげ根を出す.茎は直立し緑色で葉とともに毛がなく,下部には数個の広いさやがあって茎を抱き,茎の高さはさいごには15~25cmにもなる.葉は互生て長い柄があり,3回羽状複葉で小裂片は卵形あるいは長卵形で羽状に深裂し,深裂片は更に先の尖った線状皮針形の裂片に分れ,葉柄のもとには裂けた小形の葉片が対生し,茎の根本の葉は大形の鱗片状の鞘にかわっている.2~3月頃,新葉とともに茎頂に黄色の美しい花を1個つけ,日が当ると上向きに正開し,花径は3cmほどである.貧弱な苗では1株に1個の花をつけるが,大きく育った苗では分枝して数個の花をつける.がく片は数個あり,暗紫緑色を帯びる.花弁は多数で細い長楕円形で上部のふちには微歯があり,光沢がある.おしべは多数て黄色.めしべも多数,子房は短小で緑色,毛がある.花柱はやや長くて柱頭はわずかに広がっている.そう果は頭状に集まり,ぽぽ球形で細毛がある. 〔日本名〕福寿草で,新年を祝う花として元日に用いるので,祝福してこの佳い名をつけたものである. 〔漢名〕側金盞花,献歳菊,雪蓮花などはすべて別物でもる

-牧野植物図鑑-




                

 

 万歳や踏みかためたる京の土 蕪村

 

昔借りていた大月の家の庭に毎年福寿草のでてくるところがあった。日当たりのいい場所でそこだけ雪が少ないか解けていて、丁度節分の頃かわいい黄色い花を咲かせた。 万葉集にこの花の歌がないか探したが見つからない。古代にもあったと思うが。そこで今回最近読んでいた本から、正月ということでめでたい「万歳」の絵と句を載せることにした。共に蕪村の作である。

まもる 

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