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『アートランド、1周年を迎える』の巻

 

 雨の日も風の日も、お客様が来ても来なくても、ばたばたと、かつ淡々と、目まぐるしくもあり、ダラダラと怠慢でもあり、経済的にもこの絶妙なアン・バランス感覚が大切、らしい。兎も角アートランドは一先ず、ぐるりと1周自転した、あめでとうございます。

 平日の営業に関しては、従業員私ひとりで切り盛りしているため、さすがに病欠の場合は、張紙で知らせることもできない、急な買い出しが発生した場合は、鍵を掛けて出かけなければならない、「アートランドは開イトランド!」本当にすみませんでした。

 1周年に先がけ、オープン当初入り口を未完成のままに放置していたことが、どうしても気がかりであったため、今回スタッフ一同が腰をあげ、一旦さらにしてから新たに創作を始めた。キーワードは「WINGS OF FREEDOM」、天使の翼ではない。

 はじめに、大工の佐久間康文さんが、ドーム型の漆喰塀を土台として取り付けた。翼のデザインは星野修三さんで、一枚一枚の羽根はトタン(超低予算)で根気よく皆で切り込んでいく。(この時、お客で来たはずの元キゴマ画廊主・鈴木氏、元ロフトのチーフ・ヤマチャン、T.P.O.のノブさんも手伝わされる羽目になる)

 赤い羽根の募金のようなノリで、羽1本1本が、翼の台となる金網に差し込まれていく時、何処からともなく「カササギみたい…」、私もうなずと同時に、それよりトタンの照りが妙に気になる。が、予算が優先。2枚の羽根の間には、アートランドのロゴマークを立体として、デザインを担当した木立実さんが球体を素材として漆喰に埋め込み、無限大マークがくっついている斎藤壮一さんの原画の部分は、パテで張り付けられた。

 こうして翼とロゴが、入り口のドームに無事設置された後、明かりをコーディネートしてくれたのは乱蘭通信の武藤守氏。うすいエメラルドグリーンの小さな電球をちりばめてくれた。あとは、わたくしが単に個人的に好いている、南洋のフェニックスを置いて出来上がり。

 結局のところ1年ががりで完成?した入り口ですが、完成した初日から、「へたすると田舎のキャバレーね」とか「エーゲ海……」とか皆さんホント言いたい放題で。多少のすったもんだはありましたが、スタッフの皆様、スバラシイ贈り物を有り難う(この場をかりて)入り口も新しくなって、一周年記念月間としてイベント開催の最中、なんとアートランドにヒョッコリ出現したのは、2年足らずのオス猫。のらにしては、警戒心もなく、同じず、ずーずーしく、しなやかに振舞い、もうすでにアートランドのアイドルとして、すっかり居座っております。

 初めは、居着かれても面倒見きれないから、追い出してしまおうと思っていたのですが、どなたかのお声、「ネコハ福ヲヨブ…膝の上に座って、ずーっとお客さんが帰れないでいると、その分オーダーが増えるじゃないですか。」 …成程。

 こんな具合ではありますが、1周年を迎えております、フリースペース・アートランドへどうぞまたお越しくださいませ。

アートランドの佐久間久美子

P.S. 只今、ネコの名前を募集してます、是非会いにきてニャー!!

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