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山歩 Vol.2

千葉純市 

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  ↓「夏の朝」8月中旬
北アルプス上高地(河童橋付近)

夏。どこに行ってもむし暑い。東京から抜
け出して、爽やかな涼風をもとめて山へ。

どうせ行くなら、残雪と高山植物の豊富な
北アルプスへ。白馬大雪渓から白馬岳(標高
2,932.2m)や、槍沢から槍ヶ岳(3,180m)、
涸沢から穂高:の山々、奥穂高(3,190m)・
北穂高岳(3,109m)。そして、立山:大汝山
(3,015m)・剣岳(2,998m)もいい。梅雨
明け10日と言われ、梅雨が明けて10日間
ぐらいは安定した晴天が続くとされています
ので、この時期に入山する人がやはり、一番
多いのです。

                                           

 ↓「槍ヶ岳と北アルプスの山々」
奥穂高岳にて、8月下旬

 
                                   

人間考えることはみな同じなので、この時
期、これら中高年に大人気の山域および山小
屋は当然のごとく東京のそれとなんら変わる
ことなく、登山道は行列、山小屋はすしづめ
の状態となります。食事も順番待ちで長い時
間待たなくてはならず、冷たくなったご飯・
具も見あたらない味噌汁をすするハメになり
ます。(それでも空腹の登山者には、けっこ
う「ウマイ」ものなのです。)

                                     

 ↓「朝の斜光線」7月下旬
北アルプス燕岳・燕山荘付近にて

それが解かっていてもついつい登って来て
しまうのは、大汗かきかき登る人々の心を癒
してくれるものがそれ以上に多いと言うこと
なのでしょう。

綿菓子のような白い雲と真っ青な空、稜線
の緑のハイマツ、しとやかで誇らしく咲く可
憐な高山植物の花たち、残雪・雪渓・雪田、
頬をなぜるさわやかな風、そして何よりも眺
望がバツグンなのです。夏山の主役達がセイ
ゾロイしてむかえてくれる山頂の展望。どこ
を向いても山又山。

 

 ↓「雷鳥」   6月下旬
北アルプス八方尾根丸山ケルン付近

                                     

夕方の食事をすませ、小屋の外へ出て見る
と、あかね色に染まった空には、連なる峰々
がシルエットとなって幻想的な一幅の絵となり、
今までの全ての苦労を忘れさせ、いつまでも心
の底に残る忘れ得ぬ山旅となるのです。「又こ
よう」なんて思ったりするのです。

ところで、雷鳥に出会った時は天候がくず
れると良く言われます。今まで、3回程度(全
て北アルプス)出逢いました。1度は、白馬大
池から小蓮華山(2,769m)への雷鳥坂を登って
いた時(7月下旬)。2度目は、八方尾根を
唐松岳(2,696.4m)へ向かっていた「上の樺」
を過ぎた丸山付近のハイマツ帯で(6月下旬)。
そして、3度目は、燕岳(2,762.9m)から
大天井岳(2,922.1m)を抜けて常念岳
(2,857m)への途中東天井岳(2,814m)の雪田と
お花畑のある所で8月中旬)。

                                    

  ↓ 白馬三山」  6月下旬
北アルプス八方尾根上部にて

                                   
              

当の雷鳥は、登山者にはあまりキョウミが
ないご様子で、ちらっとこちらを見ただけで
高山植物(シナノキンバイなど)をおいしそ
うにツイ喰んでいました。いずれの時もその
1~3時間後に土砂降りとなり、雷もゴロゴ
ロと鳴り出す始末で、あわててカメラ機材を
かかえて小屋の中へ一目散で逃げ込んだこと
もありました。皆様、雷鳥を見かけた時には
なるべく早く近くの小屋へ逃げ込みましょう。

 

尚、ゆっくり夏山を楽しみたい御人には、
旧盆過ぎの8月下旬が、山小屋もけっこうす
いてきますのでおすすめです。穴場としては、
八ヶ岳。食事付の山小屋も要所要所にあり、
中部山岳の中心的位置にある為、富士山・南
アルプス・中央アルプス・北アルプスなど百
名山的な山々の大展望台といっても過言では
ないと思います。さあ、この夏南八ッ・赤岳
(2,899.2m)から北八ッ・北横岳(2,472.5m)
まで、2~3泊して縦走してみてはいかがで
しょうか。  

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