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再び月に帰った「かぐや姫」         
―その後のパンダさんと私―

 菅野 幸江

 

 1・8かぐや姫ベストドリーミングコンサートin国際フォーラムA・ファイナルは5千人の中年人で埋まり、熱いパワーみなぎる最高のコンサートになったことはすでにマスコミ等でご存知だと思います。懐かしさだけではない、郷愁だけでもない、もちろんはけ口なんかじゃない、本物の熱気が地熱のように伝わってくるコンサートで、意識とは別に涙がぽろぽろ出てくる不思議な現象があちこちで見られたコンサートでした。最後は、おじさんおばさんみんな泣いていました…。近年こういった現象はきわめてまれなのですが、日本人も覚めまくった人種だけではないんだというのを証明してるようで感動的でした。

 「もう一度 かぐや姫に会いたいーー署名」というのが ネット仲間から自然発生的に沸き起こりまして(もちろん幸江も街頭署名のメンバー!)当日寒い中駅頭に立って、なんと!――最終total3万5千人の署名が集まったのです。――音楽事務所とか、企画会社とかいろいろな問題があってすぐにはどうこうできないようですがそれにしてもすごい力だと思います。それだけ「アコースティック」な部分が求められている時代なのだと、納得した次第です。しかしこうして「かぐや姫」は再び「月」に帰っていきました。我々に「元気」という贈り物を残して… 再「降臨」はあるのでしょうか?

 パンダさんは相変わらずタカピィーになることなく、この「お祭り騒ぎ」のあとも保育園に顔を見せ「卒園式」に出たり、こどもたちとわいわい遊んだり、親たちとおしゃべりしたりしていきました。人間のできた人だと今さらながら感心します。      3.11にはお父上が83歳で急にご逝去されました。高校生だったパンダさんが大切にしていた「ビートルズ」のレコードを叩き割って「ちゃんと勉強せんかい!」って怒鳴ったという九州電力エリートのお父上でした。「道楽で飯が食えるか!」って言われてパンダさんは「きっと、音楽で飯を食ってやる!」って固く決心したそうです。私達にも大なり小なりそんなエピソードはありますよね。でも、やりとげてしまうところがパンダさんのすごいところです。

 南こうせつさんがお葬式に真っ先に駆けつけてお経をあげられたとか(彼はお坊さん)――彼もまた、信義のあつい人です。――パンダさんの息子さん「勝久くん」は、大学を卒業して24歳になろうとしています。今年に入ってパンダさんは「PANDA//SON」というバンドを発足させました。

 10年前から育ててきた「池田森(しん)君」30歳と息子の「勝久君」と3人で新ユニットを組んで活動を始めたのです。先日「沢田聖子さん」のコンサートのゲストに出るっていうんでその「助走体制」を見に行ってきました。

 アップライトのベースを持ったパンダさんはふたりのうしろで父親そのものの目をして心配そうにしていました。若者二人は おかまいなしに楽しそうに、伸び伸びと演奏していました。音楽性の点で確かに彼らには天性のものがあると感じました。育ちの良さやセンスの良さは一流だし、時流に乗ればきっとヒットしていく予感がしました。

 「月の裏側まで」「途中」「田舎道」――など、素直で素朴な歌は未来に惑う我々のひとすじの希望かもしれない…なんてわくわくしてしまったくらいです。あえて難を言うならば ストリートシンガーのようなパワーとハングリィーさがないことでしょうか?これはないものねだりというものです。

 ともあれ 5・11(金)南青山MANDALA(ライヴハウス)にてPANDA//SONはデビューステージを飾る事になりました。今回のチケットはすでにSOLDOUTですが(私が売りまくったのは言うまでも無い・・!)9・7(金)再度、MANDALAにてコンサートすることが決まりましたので 興味のある方はぜひ声をかけてください。

 前回「オーラを持つ者のみがスター足りうる」みたいに書いた私ですが、彼らの親子を超えた厳しい練習を見ているとどの世界も果てしない努力とほんの少しの運で決まるんだと言う事が分かってきました。人々の夢みる時間を大切にするために私はこの稼業(?)をもう少しつづけようと思っています。……というか抜けられない……!                                     (自称)パンダマネージャー幸江より

 

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