青葉の春はいい
春はいい
青葉の頃は特にいい
木々の葉や草たちの放つ
健康的な空気に
病み始めた僕の心も
癒えそうな気持ちになってきた
生きると言うことは毒を吐くこと
人間の社会は毒の生産工場
もたれあわなければ生きられぬ宿命が
また多くの毒を発酵させる
何と心良い風だろか
欅や楢の木が黄緑の若葉を広げ
きらきらと輝き風に揺れる
その下に蒲公英が可愛らしく花を咲かせる
世の中の毒気に身を固くしていた私は
春になり心が緩むと同時に
バランスを崩しメランコリーに陥っていた
陽気良さとは逆に心は沈んでいた
ああ、なんと若く健康的なものたちよ
ああ、なんと美しいエネルギーよ
あなたたちから貰った力で
僕はやっと前に進むことができるかも知れない
丘から見下ろす村々は
緑の森に囲まれて美しく
その下に谷川の深い茂みと下り
更に対岸の大地へと上り
遠くの山々から空へと続く
なんと素敵な眺め
素敵な空気
なんと素敵な季節
Mamoru Muto 2001 April 22