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山歩 Vol.1

       千葉純市

4月も中旬になると、東京では初夏を思わせるような陽気となる日もあります。丁度その頃、北アルプスの山小屋では、小屋開けの準備が始まります。奥穂高岳(3190m) 、北穂高岳(3106m) 、前 穂高(3090m)などの登山基地、涸沢ヒュッテ(2300m=200人宿泊可能)の周囲には、例年5~7mほどの積雪があります。30人程の小屋のスタッフが屋根の雪おろしや、玄関など入口の雪かきに大汗を流し、ゴールデン・ウィークの登山者にあわせてのオープンをめざします。

 そんな頃の尾瀬は、木道も雪にうもれていて、また雪の原っぱといったところです。5月上旬~中旬に、やっと雪解けのテンポも早くなり、いたる所で花々が開花を始めます。

ザゼンソウ、ミズバショウ、リュウキンカ、ミツガシワ、タテヤマリンドウなどなど。見頃はやはり5月下旬~6月上旬なのですが、この頃は、観光客も大勢ドット繰り出しといつた感じで、特に鳩待峠、山の鼻間と尾瀬沼東岸、沼山峠休憩所間の登山道、木道は人の行列、大渋滞となります。

 尾瀬での撮影はと言うと、木道を自分のペースで歩けない頃の尾瀬は、三脚を立てて、撮影しようと思ってもなかなか思うようには行きません。登山道、木道以外歩行禁止、立入禁止の為、ハイカーの列が途切れるほんの少しの時間を利用して素早くすませなければならないのです。

 何故尾瀬なのかと言うと、「晴れたらお山へ」というように、だれでもレジャーは天気の良い日の方が快適に過ごすことができる為、レジャーの山域はどこも人々といった具合です。しかし、雨の日、霧のかかった尾瀬は人も少なめだし、撮影の材料も増え、ゆったりとした快適の時間がそこにはあからです。都会の雑踏から抜け出して心を昔にもどせる空間がそこにたくさん見い出せるからなのかなとも思えます。広い原っぱ、鼻、木々、沼、川、池塘、湿原帯、野鳥、などなど。

 山小屋と木道以外は人工造物が無く、視界が広く、空も大きい、こんな空間で食事付の山小屋でのんびりと休養(ハイシーズン以外なら)し、雨が降りだしても傘をさしてのんびりと歩ける安心感というものは、他の山域ではなかなかあじわうことができないのです。だから、やっぱ尾瀬なのでしょう。

 日本の山は、だいたいどこの山でも登り始めの一時間程はきつい登りが多いのですが、尾瀬の場合は、いろいろルートはありますが、始めの一時間程は登りではなく下りから始まり、登りで終わります。

例えば

鳩待峠 1591m
(バス停・発着所=上越線沼田駅)

 

山の鼻 1400m

 

竜宮十字路 1401m

 

見晴十字路 1415m

 

白砂乗越 1675m

 

沼尻  1660m

 

尾瀬沼東岸 1660m

     

沼山峠 1781m

 

沼山峠休憩所 1700m
(バス停・発着所=会津高原駅)

 

 しかし、他の山域から比較すれば、ほとんどアップダウンの少ないコースなので、一度歩かれてみてはいかがでしょうか。

(鳩待峠から尾瀬ヶ原、尾瀬沼、沼山峠休憩所まで約30kmで要所要所に食事付の山小屋すべて要予約もあり1泊2日程度で歩けます。)

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