ろうばい (からうめ)
[ろうばい科〕 Meratia praecox Rehd. et Wils. (=Calycanthus praecox L., Chimonanthus praecox K. Koch) |
本種は後水尾天皇(1611~1629)の時代にはじめて朝鮮から渡って来たもので、支那原産の落葉低木である。観賞花木として普通、人家に植えられている。高さは2~4mぐらい,幹は叢生して分枝する.葉は有柄,対生し、卵形、先端は鋭尖形,全緑,長さ15cm内外,葉質はやや薄くて硬く、葉面はざらつき,羽状脈がある。1~2月頃,葉がのびるよりも先によい香りの花を開き、それぞれの枝の節に密接下向してつき、花径は約2cm前後である。花被は多数で小形の内層片は暗紫色、大形の中層片は黄色で薄くやや光沢があり、下層片は多数の細鱗片となる。おしべは5~6個、やくは外向きである.めしべは多数で、つぼ状の花托の内にあり、花托のふちには不発育のおしべがある.子房は1室で、中に胚珠が1個あり、柱頭は分岐しない。花がすむと、花托は成長増大し、長卵形の偽果となり、内部に1~4個の深紫褐色、長楕円形のそう果がある.種子は無胚乳,子葉は葉状で巻いている。この種の中で花弁が広く、花の姿の美しいものをダンコウバイ(var. grandiflora Rehd, et Wils.)漢名、檀香梅といい花弁が普通品(var. typica Makino) よりやや広くダンコウバイよりせまいのをカカバイ(var. intermedia Makino)漢名,荷花梅といい。花全体が黄色のものをソシンロウバイ(var. lutea Makino)漢名,素心蠟梅という。
〔日本名〕漢名の蠟梅(臘梅は不可)の音よみで,古名の唐梅は支那から来た梅の意味である。 -牧野植物図鑑- |