乱蘭通信175号・思い出すまま   ↑prev next↓

 苦行
 仕事のオーケーをだいしたのは七月初めで、その時点での天気予報では、32~3℃であった。毎年、夏場の野外の仕事は何日か入れている。炎天下で汗をかくのは、暑い夏を乗り切るのには、むしろ大切なことと思って居るからです。予定はなんなつもりだったのですが、その後予想気温が少しずつ上がり、なんと東京で記録的最高気温を記録した日と重なってしまった。
 現場は江東区青海、ビーチバレー会場の看板付け。仕事としては楽な仕事なのですが。海端だから内陸よりは温度は低い。海風もひっきりなしにふいている。でも動き出すと、汗が全身から噴き出してくる。1~2mの高さでは35~6℃でも、地面近くは40℃を軽く超えていたでしょう。
 だから、休み休みの作業となったが、この仕事はバテました。三時頃には手先が攣り始めたから、体へのダメージは大きいと分かった。
 これだけの事をして置けば、暑バテは最小限に防げる。暑さになれる事が大切です。  (7/23)
 
 
 米中貿易戦争! おかしさと不安
 トランプ政権が対中国の貿易関税に対して、習政権が「自由貿易」を掲げ批判していることのおかしさが、世界の複雑化、ねじれがあります。
 元々、TPPは自由経済を掲げた、中国包囲網だったのですが、トランプが脱退して、TPPの持つ機能を弱くしてしまったのです。トランプが脱退したのは北米自由貿易協定、TPPの国際分業体制で、トランプの支持者が不利益を被るという理由でです。
 しかし、この条約による総合的利益については彼は無視しています。元々アメリカ経済に陰りというより、周りの国追いつき、勝手のような絶対的立場にありません。それを認めたくないのがトランプです。
 TPPは自由貿易を掲げ、中国に対して遅れている国内改革を促すことを目的一つにしています。
 
 トランプは対中貿易赤字に、中間選挙を見据え、中国の輸入品に関税をかけるという、方法をとりました。中国も対抗措置としてアメリカ製品に関税をかけました。圧倒的に中国の輸出額が大きいので、勝敗はアメリカにあるはずなのですが、さてそうなるかは、秋以降の米中の貿易の動向見ないと分かりません。
 安い中国製品で潤っているのは、アメリカの庶民です。一概にアメリカ有利とばかり言えません。
 
 中国には弱みがあります。一定の成長率を確保しないと、地方政府や国営企業が抱える債権が不良化する恐れがあるのです。トランプの措置に戦々恐々とし得るのは、中国の為政者たちです。
 中国には他国にはない、共産党一党支配で、強引な政策も可能です。このリスクをどう処理するか、秋以降にならなければ分かりません。
 
 どうしてここまでこじれたのか?三月の全人代で近い将来中国は経済の面でアメリカを抜くと発言したからです。トランプだけではなくアメリカの保守派にスイッチが入ったわけです。世界の政治経済を仕切るのはアメリカであり、中国には渡せない。とです。
 
 EUやカナダ、メキシコ、日本などと協調してやるべきことを、トランプは単独で始めた、これが一番のおかしなこと、理に合わないことです。
 
 セクハラ、、、地獄の管理社会
 春にこんな事件があった。北京大学の女学生が自殺した。教授による、セクハラ、ライプを苦にしての自殺であった。友人が告発に動いた。壁新聞に事の真相書き、ネットで拡散し大反響を呼び起こした。
 ある日告発者の女性の母親が自宅に帰ると、警察官が待ち構えていた。このまま告発運動を続けると国家反逆罪となると警告された。
 
 最近、7月、では墨汁事件が発生した。習主席のポスターに墨汁をかけ、中国社会の息苦しさを訴える画像を流した。瞬く間に拡散した多くの人々が知る事となったが、その日の内に彼女は行方不明になった。その後彼女は精神病と診断され病院に送られた。冷戦化のソ連を思わせる措置です。
 
 またこんな事件を分かって来ています。習の出身校の清華大学の教授がインターネットに、個人崇拝に反対する旨の論文を発表して脚光を浴びた。しかし現在彼も行方不明になっています。
 
 中国に個人の自由はありません。新たなIT機器フルに使い、人民を管理しています。華人より少数民族は桁違いに徹底し、暴力的です。共産党支配のためにはなんでもやる、人を殺す事もなんとも思わない。というのが中国です。
 南京虐殺を日本人に反省を促すのは一貫した日本の左派の主張です。中国の場合現在進行形で、少数民族弾圧をやっているのです。それを無視して、南京虐殺の日本批判はあり得ない。というのが僕の考えです。
 
 それ故になかなか社会を変える運動へと発展しない。一定程度拡散するだけで精一杯です。
 
 またこんな話もある。市の高級ホテルで結婚式の披露宴を開いていたら、まだ結婚式途中なのに食べ物が片付けられてしまった。結婚式の次に同じ場所で、役人達の会議が開かれる予定で、その会議の準備に支障がないようにとのホテル側の過剰な配慮の為である。
 そもそも高級ホテルで会議など、税金の無駄使いであり、配慮せざるを得ないホテルと役人と庶民の本末転倒した力関係が見えてきます。
 
 現在中国の改革の為には、共産党の支配体制が機能しない、経済不況以外に無理ではないかと、僕は思ってます。地方政府が破綻し、行政サービスができなくなる。国営企業が破綻して賃金が支払えなくなる。と言ったことです。
 
 差別とは、
 抑圧を受けた人が、より弱い階層や人々を低く見て、自分の受けている抑圧の解消、を求める精神的行為です。
 都会の中国人は地方の人々を低く見て地方の人々は少数民族を差別します。更に周辺諸国東南アジアやアフリカの人々を差別するわけです。
 それを作り出している、共産党体制こそ一番問題なのです。
 今膨大な金を、開発途上国に投資していますが、中国人は尊敬されない。見下した目でなされる援助で受ける側も、貰えるだけ貰っておけ。と継続的な友好には結びつかない。魯迅の阿Q正伝の現代版です。
 
 
 室町時代
 呉座勇一「応仁の乱」という本を読むのに一ヶ月もかかった。暑さで集中出来なかったからです。
応仁の乱はなかなかわかりづらい内戦です。この本は興福寺などこの乱以降衰退して行く、荘園領主や室町幕府など分かりやすく解説しいる。
 この乱で社会が変わったというより、室町時代という長い時間をかけて、荘園と言った古い土地制度が大名に直接統治へと徐々に変化したのでしょう。幕府に頼らないいわゆる戦国大名が台頭する背景に、農民達や町人達の自立は欠かせない。郷村という自治村が生まれ、市や座と言った協同組合が生まれたのは、荘園という範疇を超えて産業が発達、多様化した訳で、彼らと大名の直接契約へと移行する訳です。庶民の活発な活動を上手く取り込むことに成功した武士が戦国大名として生き残ることが出来た、というのが室町時代だと思います。
 
 室町時代に生まれた、茶の湯、お能、盆踊り、連歌(俳句や川柳、短歌に発達)、村々の村祭り、、、などが日本的な文化と今日まで残るのは、この時期に生まれた村や町の構造が今日まで引き継がれたということでしょう。村の構成員である「家」という最小限単位が、今日まで残ったということです。
 
 例えば「お風呂」元々は病気治療の為のサウナだったのですが、室町時代貴族がお湯に浸かり、茶の湯や飲酒を伴う「林間」レクレーションが生まれます。お湯に浸かる風習が武士に伝わり、江戸時代に銭湯が生まれ庶民のの娯楽になる訳です。
 茶の湯や連歌などと同じように、貴族的なものが、一般化するためには、庶民が経済的余裕を持ちそれらを享受出来る階層へとレベルアップする必要があります。その基礎が室町時代に出来たのです。
 
だから明治以降東アジアでいち早く産業革命を起こすことが出たのです。
 
 土一揆は生活に困った農民の反乱ではありません。直接的要求は、徳政令や年貢労役の軽減など生活に直結したものですが、室町時代はすこぶる政治的には行動しているのです。自分の村の領主に要求を通すため、領主が敵対する武装勢力と連帯したりするのは当たり前。武装し、大名を排除することにも成功したりしているのです。
 後世忍者と言われる集団は、戦闘技術を磨いた農民達が、傭兵として大名に雇われた人々です。農民の出稼ぎ、アルバイトが忍者なんです。それが可能だったのはあらゆる職種の人々が村に住んでいて、武器も作れたし、戦争を知っている武士の指揮下に組織がすれば強力な軍事組織も可能だったのです。
 
 下克上
 下克上に支配層の交代については言われますが、支配される側にも下克上はあるのだと思います。
 古代の律令制で奴婢と言われた階層がいました。その頃律令制が変化して荘園制と並立するようになります。戦国時代まで残ります。彼等は家人とか言われようになり、荘園領主、大貴族や神社仏閣に隷属して、貴族や神社仏閣専用の仕事をしていました。彼等は自分たちの技術を主人以外の場所でも仕事でも活用するようになります。ゆっくりと時間の経過とともに、主人以外の場所での行動範囲が広がり、室町時代になると更に独立度大きなり、市や座と言った組合を作り、手広く活動するようになるのです。主家は荘園を武士に奪われ没落するのと反比例して、彼等は都会住民、町人としての経済的基盤を確保としてゆくのです。
 江戸時代になり、被差別部落を作る穢多非人と言った最下層の人々は新たに生まれた階層です。穢多は宗教上の理由から、殺傷をする人々、非人は生活破綻者です。人口比でも非常に少数です。古代の奴婢や家人といった最下層の人々は、荘園性の消滅とともに一度なくなっているのです。
 古代の農地制度が武士の支配に変わる課程で、農民は一定の自治を獲得して、畿内ないなどでは郷村運動など起こっているのです。江戸時代武士は村の内部には関知しないというのが原則になったのです。それ故余剰生産は、各地に地場産業、名物を作り、生糸やお茶は明治維新の経済的に支えたのです。
 また、都市住民となった町人たちは、あるは工人としてあるは商人として、旺盛な経済活動をして、町人文化を花開かせるのです。
 大きな社会の構造変化こそが下克上で、庶民の自立した活動なくしては、武士の時代も成立しなかったのです。
 
え・ちえ 
 秋が正念場 米中経済戦争
 トランプ政権が総額2000億ドル分の中国からの輸入品に25%の関税が掛けるかどうか、辺りが注目点です。米中でそれまでに妥協が図られる可能性は、低い。これに対抗する中国側の手はあまり無い。中国の受ける経済的ダメージは大きいからです。
 アメリカの中間選挙を前にして、攻めるトランプ政権がも危うくなって来た。何やらアメリカ、中国を挟んで、世界の経済的政治的大きな曲がり角になる可能性があるので、注目しています。
 
 社会や世界が動けば、それをより良い方向に変えようという人々の方が、多数派です。それがうまく機能しない時があるので、後退したように見えるだけです。長い目で見れば、良い方向に動くだと、信じることにしましょう。
 

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