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慈 し み の 初 夏 


今年、二人が満開の桜の下で逝った。
その喪失感が癒えた頃、今度は、五月の下旬、
姉のように慕っていた女ひと、病床で最後を迎えた。

いつもなら、友達の生意気な発言には、
一言二言嫌みな言葉で返すのだが、
柔らかい優しい言葉になっている事に気付く。

初夏の強い太陽は、僕の心とは別世界の物語ように、
明るく白昼夢の照明のように照らしている。

慈しみの初夏、そして優しい梅雨!
目に入るものが何か大切な宝物に見えてくる。
蛍や紫陽花を「いとあわれななり」と、
古来の表現が口に出して郎じてみた。

今は強い光、
そしてこれからは、雨、あめ、雨!
生きとし生きるものを、光り輝かせ、
優しく鎮めれば良い。
2018.6.3 Mamoru Muto
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