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金かんや 南天もきる 紙袋   一茶 「七番日記」


名月に 葉隠れ柑子 見出したり    成美


仏壇の 柑子を落す 鼠かな     正岡子規


一本の 塀の金柑 数しらず    阿波野青畝


乳児
ちご泣きつつ 金柑握り 匂はしむ 加藤楸邨









 キンカンはミカン科キンカン属の木になる果実で、原産地は中国。一般的には柑橘類として扱われていますが、実は柑橘属ではなく、独自の金柑属という分類。また、みかんなどと違い、果肉もさることながら、皮ごと食べられ、柔らかい苦味と甘味があって美味しいです。








 つるりとした金色で球形、香り高く甘く酸味があり、砂糖で煮て、風邪薬にもします。







 きんかん    (ながきんかん)  〔みかん科〕 
Fortune11a japonica Swing1e var. margarita Makino
 (=F. margarita Swingle)
 
 昔支那から渡来し、今日では日本の暖地に植えられる常緑低木の果樹で、高さ3mに達し、枝葉は密に茂り、ほとんどまたは全くとげはない。葉は皮針形で両端は徐々に細くなり、長さ4~9cm位、普通先の方にはっきりしない鈍きょ歯がある。裏面は白緑色で葉脈ははっきりしない。葉肉の中に細かい油点が多い。葉柄には狭い翼がある。夏に葉腋に1ないし2~3の白色の小花を開きよいかおりがある。小花柄は非常に短かい。小形の5個のがく片、5個の花弁、多数の雄しぺ、1個の子房がある。子房は4~5室からなり、1本の花柱がある。液果は倒卵形で長さ3cm内外、熟すると橙黄色となり食べられる。
〔日本名〕〕金柑は漢名の金橘の一名であって、それの音読みである。元来、民間で普通にキンカンとよぶものはマルキンカン。ナガキンカンを合わせて呼んだ名であるが、ここではナガキンカンを指す。  〔漢名〕金橘。
-牧野植物図鑑-








 このコーナーは日本古来の植物という事で、万葉集に載っているものを優先的に載せてきました。万葉集の時代と今の時代には認識のズレがあり、今の何を指すのか曖昧なもの、現代では馴染みの薄いものが多くなりました。そろそろ万葉集にはこだわらないことにします。

 万葉時代にはなかった外来種のミカン、温州にしようか金柑にしようか迷いましたが、木枯らしと小さなオレンジ色と喉の薬とイメージから、金柑を取り上げました。  (ま)





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