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(天智)天皇、蒲かまに遊獵みかりしましし時、
                額田王のつくれる歌


あかねさす 紫野行き 標しめ行き
         野
もりは見ずや 君が袖振る
                   
万葉集  額田王







大黒様
    作詞:石原和三郎
    作曲:田村 虎蔵

1、
大きな袋を 肩にかけ
大黒様が 来かかると
ここに因幡の 白うさぎ
皮をむかれて 赤裸

2、
大黒様は あわれがり
きれいな水に 身を洗い
がまの穂綿に くるまれと
よくよく教えて やりました

3、
大黒様の いうとおり
きれいな水に 身を洗い
がまの穂綿に くるまれば
うさぎはもとの 白うさぎ








蒲の種類 近い三種類の蒲

(がま)

穂の部分は7~10cm。先端の花と穂とはひっついている。

小蒲(こがま)

穂の部分は約5cm。短い。先端の花と穂とはひっついている。


姫蒲(ひめがま)

穂の部分は7~10cm。先端の花と穂の間にすきまがある。









• 蒲団(ふとん)の「蒲」の字は、昔、ガマの綿毛を寝具に入れたことから。

• 蒲鉾(かまぼこ)は、最初のころは竹輪のような形をしており、ガマの花穂に似ていた。

• 蒲焼(かばやき)は、うなぎを筒状に切って焼いていた形がガマの花穂に似ていたから。



・ガマの花粉は止血、利尿の漢方薬になる。








 が ま   Typha latifolia L.   〔がま科〕 
 
 池や沼にはえる大形の多年生草本で、根茎は泥の中を横にはって広がり白色である。茎は円柱形で直立し、単一で緑色,平滑で硬く、高さは1~2m程ある。葉は長く幅広い線形で、葉身は左右から扁平、線色でやや厚く柔かく、茎より高くのび、幅は2cm位で平滑である。下部は長い鞘状で茎を包む。夏花茎の先に穂をつけ早落性の葉状包2,3があり、雄花穂は上部で黄色であり、雌花穂は雄花穂と密接し長さ15~20cm程の円柱状で緑褐色である。花は小形で花被はなく、雄花は3雄しへと剛毛からなり、花紛は黄色で4個密着する特徴がある.雌花には長い花梗があり小包はなく、子房の先の長い花柱の頂に斜菱状皮針形の柱頭を有し、小花梗の基部に数本の長毛がある。果穂は無数の果実を含み赤褐色の円柱形で長さ20cm程あり上部に針状の雄花穂軸が残る。この状態を俗にがまほこ(蒲槌)という。果実は紡錘形で淡黄褐色基に長い白色の毛があり、花粉を蒲黄と称し薬用とする。
〔日本名〕〕ガマはかまと同語。松岡静雄氏の説ではガマは朝鮮語のカムにつづくという。 カムとは材料の意で、ガマの葉を編んで、むしろやしきものとすることに関係があろうと牧野博士は旧版で論じた。  〔漢名〕香蒲。
-牧野植物図鑑-








 今回はガマです。因幡の白兎の話は有名ですので、和歌など多く詠まれていると思ったのですが、ほとんどない。万葉集に額田王の一首がそれも、前文にガマが出てくるのみでした。蒲鉾、蒲焼、蒲団と庶民の生活には馴染み深い植物ですが、歌に詠むためには何が不足しているのでしょうかね。
 田舎に帰った時、休耕田に、ガマの穂が立ち並んでいた。以前その写真をこの新聞に載せたことがありました。  (ま)


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