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古いにしえに ありけむ人も 吾がことか
三輪の 檜原ひばらに 挿頭かざし折りけむ
万葉集 柿本人麿
村雨の 露もまだひぬ 槇まきの葉に
霧たちのぼる 秋の夕暮
(槇 =「ひのき」や「杉」 などの総称)
新古今集 寂蓮法師 百人一首
まきもくの 檜原の嵐 冴えさえて
弓月が岳に 雪降りにけり
金槐和歌集 源実朝
ヒノキの語源について
中国本土にはない木ですので、この木に対応する漢字はありません。牧野博士の説の他に神道関係者からは別説もあり定かでありません。別説が面白いので、載せておきましょう。
万葉仮名では、「火」と表示されるヒと、「霊、日」と表示されるヒとは明確に発音が別で区別されていました。ヒノキのヒは後者で、意味も「霊、日」に沿ったものだったというのです。ヒノキは霊的な木、木の王様と意味合いがあったというのです。
大森林に覆われていた古代、森林信仰は神道の中心をなす信仰でした。背が高く、腐食に強く、建築材と優良なヒノキは特別な木、信仰の木として崇められていたのです。
また、「真木、槇まき」という言い方があるが、この場合はスギなどの針葉樹も入る。「槇まき」は普通犬槙を表す。 (ま)
ひ の き Chamaecyparis obtusa Endl. 〔ひのき科〕 |
各地の山林中にはえ、幹は直立してそびえ分枝する常緑の高木で大木が多く、高さ30~40m、直径1~2mにもなる。時に純林となっている。一般によく植林される、樹皮は赤褐色で平らで滑らか、たてにさけめが入り薄片となってはげ落ちる。枝は小枝を互生的に出して平らになっている。葉は緑色で小鱗片状。交互に対生し、小枝や細枝を通じて密着している。上面、下面にある葉は短かくて広卵状三角形で先は鈍い。左右の側面にあるものはかま状の舟形で、下部は枝にそって着き、上部はややはなれて立ち、先端は鈍い、上面下面にある葉の約2倍の長さがある。下面では葉の間、葉の縁に白いろうの粉がある。雌雄同株。4月に開花する。花は細かく、細枝の端につく。雄花は多数あり、広楕円体で紫褐色をしている。鱗片内に3やくあり黄花粉を出す。雌花は枝の梢につき、球形で鱗片内には4胚珠がある。球果はしばしば枝の上に群生して着き、直径1cm位、木質で褐色の球形をしている。種鱗はたて形で、7~9個ある。種子は鱗片の基部に着き、長さ3mm位,左右に翼をもち、秋の終り頃に散る。材は用途が多く建築材として最良品である。
〔日本名〕火の木の意味で、大昔の人がこの木をこすりあわせて火を出したことからきている。 〔漢名〕扁柏, 檜ともに正しくない。
-牧野植物図鑑- |
今回はヒノキの含蓄です。ヒノキ風呂、檜舞台、神社の神木と日本文化になくてはならない木です。スギ花粉に続くヒノキ花粉で悩む人も多いでしょうが、花粉症は、危害を及ぼす外敵を排除し過ぎた人間の生活が原因で、ヒノキに責任はありません。
ヒノキ香りの入った入浴剤で、ゆったりと一日の疲れを取るのは、小さな幸せです。 (ま)
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