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 都民ファースト
 小池さんの感性疑いますね。昨年はブリテッシュファースト、USAファーストと国際的流行語になったが、あまり考えもせず、流行に乗ったネーミングとしか言いようがありません。
 国と国と相互依存が昔とは桁違いに進んでいる現在、また国内では県と県も同様に共存している今日、都民第一を声高く掲げた途端、周りの県から拒絶されるのです。東京は地方あっての東京であり、それ以外のなにものでもないと言う事です。
 
 世界の流行に敏感なのは良いが、そこに流れている保守的な排斥主義には反対です。そういう意味で非常に気分の悪い名前の付け方です。
 
 
 日本は台湾に見習うべき。
 今年一月に入り、ビックニュースが飛び込んで来た。台湾議会は脱原発を決定した。というニュースと、東芝の原発部門が巨額の損失を出したというものです。大震災や原発事故に援助を惜しまなかった台湾が、同じ地震国として、原発の安全性を最も心配したからの決定です。片や日本を代表する東芝が、アメリカの原発部門で巨額な赤字が発覚し、今後東芝本体の倒産まで行きかねない状況になっています。
 
 東芝の原発部門は日本の原発産業を支える柱の一つです。それは再稼働始めた原発の先行きに暗い影を指しています。これで、原発が経済効率の悪いコストの高いものであることが、はっきりしました。いずれ自然淘汰されて行くのではないでしょう。良い話です。
 
 台湾に関して
 トランプ政権誕生で、早速蔡総統との電話会談、一つの中国に固執しない発言等で目が離せません。トランプはビジネスのように、台湾を中国恫喝の手段として使おうとしています。主に貿易赤字の解消として。アメリカ大統領としては軽薄な発言です。アメリカの東アジア政策という大ビジョンの上にあるべき政策変更なのですが、そのビジョンを提示しないまま、アメリカにとって有益かどうかで、台湾問題を使おうとしていのです。アメリカの大統領としては失格です。
 ただ、台湾はそれに振り回されない、自覚が動き出そうとしているのです。その一つに、日本と同じ地震国として、危惧される原発廃棄の方針を決定しました。巨大な中国相手に動じない強さがあるのです。台湾の台湾人としての自覚は、香港の政治的自立へと大きく影響し、中国本土の政治的再編へと動く可能性を秘めているのです。
 更にもう一つ蔡政権になり実現したこと、「先住民に対して四百年に及ぶ漢人支配の謝罪」です。これは成熟した民主国家としての証です。先住民と入植した中国人の連合が「台湾人」ということです。
 
 農村の若者 中国
 自由化とは程遠い、共産党回帰の習政権が何故力を持つのか、なかなか分からなかったが、農村の実情の報道など見るにつけ、少し分かったような気がした。
 日本に来て爆買いをしたり、旅行を楽しんでいるのは、都会で成功した中国人です。取り残された六、七割の農民は旧来の貧しい生活を農村で送っているわけです。彼らの考えは古い共産党の教えそのままなのです。しかし若者は都会に働きに出て、住居を都会に構え、子供を呼び寄せ、都会の籍を獲得する夢があるのです。
 それ故都会の不動産業は活況を呈しているわけです。身分制を否定し平等を掲げた筈の共産党は、都会と農村という新たな差別を作ったのです。開放経済はその格差を益々広げ、貧しい農村として取り残されたのです。
 
 旅行などで世界を知り始めた都会人が、豊さではなく自由を求める方向になかなか行かないのも、旧来依然のものの考えしかできない農村の存在があるからです。そして今の中国はこの農村出身の若者達の貪欲なエネルギーによって支えられているのです。
 中国は巨大。それ故時間がかかるということでしょう。世界第二位の経済大国にはなったが、それを日本の十倍の人口で割ると一人あたりの生産量は五分の1、世界ランクは80番代になってしまいます。まだまだ中身は途上国なのです。それで大国意識を振りまかれたら、日本にとっては迷惑千万、途上国の質を押し付けることですから。まだまだ、六、七十年代の日本に似たいるのでしょう。
 
 
 差別の構造
 イジメや差別が後を絶たない。人間が社会生活する上で、永遠の課題かもしれない。かって阿Q正伝で魯迅が指摘したように、乞食はさらに弱い乞食をイジメる。それがイジメの構造です。
 僕らの青春時代、七十年代、まだまだ朝鮮人差別が強かった。現在のハイトスピーチに留まらず、悲惨な暴行事件が年に何度か起こっていた。それがバブル期のを経て、弱まったような気がしします。何が変化したのか?朝鮮人差別は欧米人へのコップレックスの裏返しなのです。欧米人に自分を主張出来ない日本人のストレスのの吐け口が、身近な弱い人々に対する差別意識なのです。そのコンプレックスがバブル期に多少解消するに至り、在日の朝鮮、韓国の人々への差別意識も弱まったのです。
 最近、福島からの避難者の子供へのイジメが問題になっています。それはイジメられる子供の問題ではなく、イジメら側の子供が多くのストレスのを抱えているということです。親や先生から、口に出せない不満を持っていると言うことです。そのはけ口に出来る人を捜しているのです。
 
 恐らくヨーロッパやアメリカで問題になっている、移民や難民非難も、経済格差の拡大による下層の人々の不満を彼等、弱い立場のの人に向かわせたものです。
 韓国や中国の過去の侵略批判がなくならないのは、日本の問題というより、経済成長により生まれた格差、下層の人々の不満の吐け口に利用していると思われます。また、早く裕福になった日本へのコップレックスの裏返しでかありません。それ故、歴史的事実は着色され、日本軍は冷酷で日本統治下は悲惨と着色されるのです。そういう日本との過去がなければ、新たなはけ口、少数民族やイスラム教徒に向かうでしょう。
 
 
 トランプ
 トランプよのうなバカを大統領に選出する人々、保守派のアメリカの中下層は、おかしいよね。
 就任以降、大統領令を連発し世界を驚かせていますが、困ったことに世界情勢も事実誤認の上に発せられていることが多い。トランプが政治的に無知な人間だからです。無知なアメリカ人の代弁者だからです。いずれ誤認は是正されますので、あまり心配はいらないと思います。
 しかし、問題は、ヨーロッパやアメリカに渦巻く、保守的な保護主義的風潮がどこまで広がるのかは、もう暫く注意してみて行く必要があります。冷戦崩壊以降、グローバル化の方向性が大きな構造的変化まで起こす引き金になるのか、部分的修正で収まるのか、注意深く見て行く必要があります。
 
 トランプの主張が間違いなのは、グローバル化は避けられない歴史的必然だからです。アメリカの企業の多くは多国籍化し、様々な民族、国籍の人が参加して成り立っているのです。関税を引き上げ、輸入を制限すれば、必要な原材料や部品が高価になるし、報復関税で、貿易そのものが衰退することになります。結局はアメリカの衰退に繋がるのです。
 また、難民や移民を阻止、テロリスト防止と称し、イスラム教徒の入国を拒否すれば、穏健な人々まで敵に回し、テロする口実を与えることになるのです。結果的にテロが治るどころか、活気つかせる事になるのです。
 
 そして、移民や難民はグローバル化の副産物です。彼等を受け入れていない日本は、世界から最も批判されて当然なのです。日本が軌道修正すべきなのですが。難民や移民は、人口減少を迎えている日本にとっては、大きな戦力と捉えるべきなんです。彼らを受け入れたら、彼らは日本文化になじもうと努力し、勤勉な労働者として働くはずです。かつて世界に散った日本人の移民が、労働者として勤勉にその国の産業を支えたようにです。過激なテロ化、犯罪の増加は偏見や差別が存在するからです。
 
 

今号のお猫様、しっかりおじさんやっています。

 慰安婦問題について
 日本大使館や領事館に国際ルールに違反する疑いのある、少女像を設立するなどの過激さは、何か大きな見落としがあるような気がして気に入らない。勿論日本人として過去の日本政府や軍の責任を回避するつもりは全くないですが。
 それはかっての慰安婦の皆さんの問題ではありません、取り巻く支援団体の運動の進め方の問題です。敵を作り、全ての責任を敵になすりつけるのは間違いだからです。あらゆる運動は、自らへの問いかけなしにはには、言葉は伝わりません。朝鮮社会そのものへの問いかけなしには。
 
 「女工哀史」と言う日本の労働運動の原点になった本があります。その当事者が晩年当時の回想を語っています。そこに「きつかった」「苦しかった」等の悪い印象は少ないのです。青春期の楽しい思い出の方が多いのです。女工のある分だけ取り上げ、全体像を見てこなかったからでしょう。貧しく単調な農村の生活、規制の多い生活より、仕事がきつくても都会や新たな環境での生活が、彼女達の心に新鮮な体験として残ったからです。そして明治の農村の女性の置かれていた立場、男尊女卑や貧しさの考慮がないからです。
 
 慰安婦問題も同じ事がないがしろされているような気がしてなりません。朝鮮半島は儒教の国、二百年前までは、奴婢と言われた奴隷が二割三割いた社会です。最下層の女性にとり、朝鮮人の役人や日本軍の息のかかった女衒に目をつけられたら、断ることなど出来ません。強制的ではないが見えない圧力はあったはずです。また、逆に当事者からしたら、そんな社会からの脱出のチャンスと前向きに捉えることだって出来と思います。当事者の詳細な証言が取れたら、千差万別と思われます。
 
 当時でさえ慰安婦問題は国際的な批判があり、日本人は21歳以上、朝鮮人には適用されなかったのは、朝鮮人差別とともに、さらに深い差別があったからではないでしょうか。
 また、当時の人が悲惨だと感じたら、どんなに政府が規制しようが、それは語り継がれ今日に残ります。当時の常識と、告発する現在との間には大きなギャップがあります。豊かになり様々な権利が保障された今日とのギャップを考慮に入れなければ、議論は空を飛びます。
 美容整形なんか、男に取り入ろうとする、男尊女卑社会の奴隷根性そのままです。整形コピー人間批判から、慰安婦問題、性奴隷問題へと切り込まないと、普遍的な女性の権利獲得運動に繋がらないのではないでしょう。
 
 悲惨について
 慰安婦に関するニュースを読んでいるとこんな証言があった。「お金を貯めてお店を開くのが夢。と語る慰安婦に日本軍の司令官が感動し彼女に賛辞の言葉を送った。」というものである。恐らく実話でしょう。日本の右派系のメディアが、慰安婦はそんなに悲惨ではなかったという証言として伝えている思惑が見え隠れもするが。しかし、この証言は悲惨さとは別問題なのです。
 人は自分の置かれた現実を受け入れた時、夢が生まれる。司令官は若い部下の性欲に悩んでいて、彼女に対して心からの感謝を述べたのです。
 
 慰安婦問題を告発する人々は、この様な証言を作り話として切り捨てないで欲しい。「悲惨さ」という感情は、安全な場所にいて始めて発せられる事だからです。どんな残酷な現場でも、人は微かな希望を携え、必死に生き延びようとする生き物だからです。
 時には相反する証言を出来るだけ多く集めて、事実を一つ一つ積み重ねて分析した時、始めて実態が見えてくるものだからです。
 
 
 貧しさについて
 「ものがないことが貧しいわけではない。異なる生活との比較の中で、人は貧しさを感じる。」
 
 明治の頃も同じ時期の朝鮮半島も、高度成長期の日本、今の中国の農村も、共通しいいるのは新たな消費文化の進入です。自給自足の農村は、それなりに豊かだったのです。しかし、消費文化の進入とともに今までのように生活が出来なくなったと言うことでしょう。物々交換が成立していたものが金銭を媒介しないと生活できなったり、物価が高騰したり、都会との経済の連動により、貧しく感じられるようになった。若者は豊かさを求め都会の生活を夢見るようになる。ということでしょう。
 
 明治維新前後、開国により金銭文化が流入しインフレが激しくなり、各地で農民一揆が多発します。下層武士の出身の大久保利通は農民の窮状をいち早く察知し、即座に税金を半額にして一揆が拡大するを避けています。日新戦争前、朝鮮半島も同じ様な場な状況に陥ります。しかし対応は全く逆でした。それがその後の歴史を分けることになります。
 経済的に窮乏した朝鮮王朝は税金を引き上げ、一揆が拡大します。東学党の乱です。鎮圧できない王朝は、清と日本に軍隊の出動要請します。植民地化の進む世界を知らない為政者のやってはならない決定です。軍隊の派遣の見返り、それが主権を侵し植民地化への引き金になるからです。
 歴史はそのセロリ通りに進んだ。朝鮮半島の利権を巡り日清戦争が起こり、日露戦争が起こり、日本統治へと進んだのです。
 
 朝鮮王朝には改革派という近代化を進めようとする貴族達がいました。もし彼等が政権の中枢にいたなら、農民軍と妥協しても外国の関与は求めなかったでしょう。彼等が政治的力を持ち始めるとことごとく弾圧されてしまったいたのです。
 

166号・思い出すまま    ↑prev next↓