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スパームーン


忘れもしない去年の九月二十七日、スパームーンの夜、
よりより徹夜の仕事、
梯子より落ち、足首にヒビが入った。

満月は僕が野生に帰る時。
スパームーンならその影響は極大。
自制という理性のコントロールが効かなくなる。
嗚呼恐ろしや!恐ろしや!

文明など、何十万年と続く人類の歴史に比べたら、
最後のほんのひと時の時間。
人々は満月の夜の異性を求め、出歩き、
それ故に、人類、子孫を増やし絶滅を免れた。
満月の夜は人が人となる時。
文明という衣を脱ぐ時。

しかし、
がんじがらめの文明の束縛を受けた現代人は、
素直に本来の人の姿に戻れない。
故に、時として混乱し、パニックに陥る。

恐ろしや!恐ろしや!
今年のスパームーンは明日、十月十六日。
池袋の街で、僕が僕でなくなるかもしれない。
2016.10.15  Mamoru Muto

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