↑prev next↓

 中国夢  面子が中国を潰す中国病
 習が政権を取った年に、「アヘン戦争と日清戦争で失った世界帝国を取り戻す。」と宣言した。一路一帯政策、AIIBなどはこの夢の実現の為の政策です。中国人の心情として分からんでも無いのだが、ここに来て高く打ち上げた理想が、諸々の政策の足枷になり始めている。
 
 周辺諸国をかっての冊封体制下の隣国への姿勢の様に高圧的に写り、大きな反発を招いている。南シナ海の領土の主張は、孤立化を深め、大きな軍事的、外交的負担となりつつある。
 IMF基準通貨への格上げは、元の下落の政治的抑制へと働き、元の下落による経済の調整能力を阻んでいる。
 中国夢として掲げたGDBの成長率を維持するため、過度な投資によるGDBの底上げへとつながり、不動産バブルの再来を招き、新たな不良債権を生むだけの危険性がある。
 
 すべき事が逆に作用しているのです。国内格差の是正、生産過剰産業の再編、不良債権処理、環境問題などなどが最重要課題なのだが、なかなか進まない現状で、高い理想を掲げる事は、数字だけ目標に合わせる、粉飾が横行する結果となります。高い成長率を掲げ、成長の夢を与え続けなければ、国内矛盾の不満を吸収できない。もう中国夢ではなく中国病ですね。一党支配崩壊まで行かないと治らない病気でしょう。
 世界が中国を尊敬するのは、中国で生まれた技術や制度が世界各地で役立つと認識された時で、お金などの物の多さでは無い。毛沢東回帰の習政権は、多数派の農民や低所得者に焦点を合わせた点は評価できるのだが、古い国家主義の中国夢を持ち出さなければ、中心力を失うという問題を孕んでいるのです。市場経済と計画経済の並立の限界に来ていると言うことでしょう。先々のことを考えたら、一党支配に見切りを付けることなのだが、それを受け入れようとしていない。傷を深めているというのが現在の姿でしょう。
 
 日本と中国は海からのヨーロッパと同時期に接触したにも拘らず、その後の歴史に大きな差が出来たのは、中華帝国という驕りが、ヨーロッパ文明を拒絶し、学ぼうとしなかったからですからね。
 
 決着はこれからの歴史が下す。ということでしょう。二歩進んで一歩後退が歴史的うねりです。百年遅れた「中国夢」は二十一世紀の世界には通用しない。国家の垣根が低くなり、益々相互依存が強くなる世界。少数の大国が世界を支配する時代ではない。半世紀前なら戦争により歴史的決着がなされたかも知れないが、今は大規模戦争は出来ない。恐らくこれから経済的破綻として修正を余儀なくさせられるものと思われます。少し時間はかかるが、この方が戦争よりは良い。
 
山で出会った、妖怪のような岩 
 オバマ大統領の広島訪問、日本の被爆者団体の運動がもたらした偉大なる勝利。
 これは、日本の被爆者団体、アメリカの民主党などの核廃絶運動などの長年の運動の積み重ねの結果です。人間は反目し力による解決を急ぎ、愚かな戦争をするけど。その問題や責任追及も大切ですが、ある一定の時期が来たら、許し、和解し、また共に歩み出す事は、より大切なことです。そんな反目と和解を象徴する、素晴らしい歴史的瞬間です。
 
 5月27日は夕方から仕事があったのですが、工芸社のトラックを見張っているようにと、特別職を与えられ、トラックの小型テレビで、大統領の広島訪問のライブを全部見る事が出来きました。全く幸運でした。
 
 七十一年前の悲劇は仕方ないとして、少しでも和解するのはとても大切なことです。広島に来たアメリカの大統領も偉大ですが、謝罪や賠償という次元に止まらず、さらに広い視点を持ち続けた被爆者の皆さん、広島市民を尊敬するばかりです。
 
 リーマンショック後の経済再生に多くの時間を裂かれ、地味な大統領、控えめさがISの台頭や南シナ海の中国の進出を招いたと批判され、核兵器削減の夢も頓挫せざるを得なかった、オバマ氏ですが、キューバとの国交回復、ベトナムとの良好な関係、そして今回の広島訪問と、過去のトゲを一つ一つ抜いた功績は大きいと思います。僕らがアメリカという国を考える時、こういう質の高いアメリカの良心に出会うことができるからですね。
 
 しかし、アメリカ大統領の広島訪問は遅いよね。30年ぐらい遅いよね。ソ連崩壊の頃にやって欲しかった。遅くなったのは、アメリカ国内の世論、太平洋戦争を戦った退役軍人や保守派に配慮していたからです。原爆投下の責任とその謝罪と補償を、当然の事としてセットし予想されていたからでしょうが、日本の被爆者団体は当初から、謝罪や補償ではなく、核兵器のない世界、世界平和を目指して運動して来たことをもっと早く知って欲しかった。
 それも経済摩擦が最も強かった時期なので、政治的にできなかったということですかね。
 
 恐らくこの和解は、南京虐殺や慰安婦の問題へも微妙な影響が出てけると思います。二つとも、歴史的に検証する資料以上に、日本を批判する政治的な思惑が強いこと。加害と被害を乗り越えた普遍的価値には程遠いんですよね。半世紀以上も前のことを、政治の全面に出さざるをえない、政治の脆弱税さが問われてくるのだろうと思います。
 
 オバマの広島演説           オバマの広島演説全文掲載 →
 
 政治家ならこのぐらい格調高い演説して欲しいですね。謝罪という言葉は全く入っていないが、文面は被爆者にとり謝罪を認めた文面です。アメリカの原爆投下正当論者には、謝罪がないから正当性をの是非を回避していて問題ない。見事な演説です。
 それを可能にしたのは被爆者運動の普遍性です。原爆の被害者を日本人に限定せず、朝鮮半島の人、米人の捕虜とすべての国の人々とし、核廃絶と平和を最大の目標にしてきたからです。この文面からも、被爆者運動がオバマを呼び込んだことが分かると思います。
 
家の近くの市民会館から
図書館に抜ける緑の小道
 
 安倍政権の成果???、国家の品位を失っては効果は半減です。
 右派系の報道機関が安倍政権の成果を次のように報道していました。
 「安全保障に関する法整備などで日米関係を修復し、中韓の対日批判を封じ、中国包囲網を強化した。五月のG7はその結果で、南沙諸島に進出する中国に無関心だったヨーロッパを、中国包囲網に引き込むことに成功した。」云々と。
 
 しかし、TPPを民主党が推進したわけですが、経済的側面だけではなく半分は政治的な側面、力のみで拡大する中国に、国際ルールの遵守を求めるもので、中国の暴走に対する大きな歯止め策な訳です。中国懸念が自民党の専売特許な訳ではなく、日本人の多くが感じていた懸念です。
 問題はその独裁的手法です。安全保障を充実するなら憲法改正すれば良いわけで、それができないなら、臨時法で十分な訳です。そういう意味での国民合意は十分あった訳ですからから、強引に恒久法を通す必要はなかった。憲法解釈の変更までやった悪害の方が大きいと思います。
 
 国家や民族には品格という価値有があります。今回オバマを受け入れた被爆者団体は、品格ある運動をして来たから、オバマもそれに応じることが出たわけで、謝罪を第一に求める団体なら、今回の広島訪問は実現しなかった。
 これと反対のことを安倍政権はしたのです。憲法の持つ品格を、国民に審を問う憲法改正ではなく、運用手続き上の解釈変更で恒久を定めたのは、憲法を貶めたことに他ありません。
 
 もっと分かりやすい例で言えば、同じく成立させた秘密保護法です。日本政府と日本からの報道の透明性は大いに傷つけられました。日本から発信する情報を世界の報道機関が疑問の眼差し見ることになってしまったのです。情報の信用度の低下を定量化できませんが、損失は計り知れないものと思われます。
 「半世紀後に公的情報はすべて公開する。」という一文を入れない事の重大性です。一部の官僚と保守派政治家が後世の批判を避けるという保身的行為が、「日本は秘密を公開しない国』とあらゆる情報への疑念を抱かせることなってしまったのです。激動する世界にあり半世紀経ったら、秘密にする根拠が変わるのです。公開し再検討する必要があるのです。
 この条文の削除により、この法律成立と共に、情報開示の日本のランクは下がり、国の品格が貶められたのです。
 
 次に経済政策
 鳴り物入りで始まったアベノミクス、予想通りの結果に終わりました。失敗ですね。金融政策に偏り、構造改革が機能していないからです。保守政権ですので、既存の利権を守ることが前提となっているからです。大幅な規制緩和などが後回しだからです。
 
 そもそも2パーセントの経済成長が必要か、という前提から考え直す必要があります。人口が減る高齢化社会です。経済成長期とは全く違います。それなのに同じ経済手法でしか持ち合わせていないから失敗するわけです。問題は国民一人一人の生活の安定度を前提に目標を立て直すべきなのです。人口が減少せる中、経済ゼロ成長でも、経済が後退したとは言えません。高齢者は多くは消費しませんが確実に一定の消費はします。経済成長期の発想のままの経済政策が多くの問題を引き起こしている訳です。
 
 例えば企業減税した所で、その収益は労働者や下請け会社に流れて行きません。企業は予想される経済危機対策として収益を保存し放出しないからです。また、円安による輸出産業育成も問題あります。大企業は国際化しドル立てで営業しているのです。円高円安は関係ありません。中小企業は特異の技術で成立しているわけでこれも余り関係ありません。
 その金を待機児童対策や福祉に回した方が、次の消費に回り経済の循環に寄与するのです。金を使わずに規制を緩和し新たな地場産業、観光産業、環境産業を育成した方が、新たな輸出産業が生まれてくるわけです。
 
 高額所得者は利益を新たな危機に備え、即消費には使いません。低所得者は少しの利益も少し贅沢と消費に回します。弱者対策の方が経済の循環により貢献するのです。社会全体経済力は、格差の少ない社会の方が強いのです。格差を拡大したアベノミクスは時代錯誤の経済政策なのです。
 
 最後に
 ワイマール憲法をかってに解釈を変更して独裁に走ったのはヒットラーです。立派な法律も運用の仕方により幾らでも悪法と変化してしまうのです。
 対中国というなら、時間がかかっても民主的手続きを尊重した運用であり、手法です。それこそが独裁中国に対する最大の武器なのです。
中国はこれから台湾化すべき国家でする。台湾人としてしての自覚を持ったように中国国内が、北京人、上海人、広州人としての自覚を持った中国は成熟した社会になるのです。そういった未来を見え据えた付き合い方をすべきです。
 
 爆買いと揶揄される中国人も日本にやってきて、日本の社会の健全性を学習し、いずれ自国の改革に取り組むはずです。だから日本は毅然としていれば良いだけです。オバマと原爆被災者の和解のように、独裁国家が暴走する口実を与えないことが大切です。
 
山椒の子供 隣の家の山椒の種が垣根越に
落ち芽を出した。嬉しい偶然。大切に育てよう。
 
 世間体(せけんてい)
 小さい頃、親に村や親戚の人々の見る目を気にして色々と言われた。北海道で子供が人や車に石を投げたのを躾けと称し置き去りにして長く見つからず大騒動になった。他人の目を気にする日本人気質とは何だろうか。ゴミを出さない、他人の身になり考える。社会のことを考える、日本的道徳の根幹がこの辺にありそうだ。
 
 どうも面子を重んじる武士社会の倫理観だけではなさそうだ。武士道は力にのみの支配を抑制し、人々の上に立つ者は尊敬される教養や道徳身につけるべきと説いた。そうしなければ、自分達の特権が危うくなるからである。しかし、世間体を気にする心情は、上下の関係ではない。水平の関係である。村社会や職人、商人の世界で養われた隣人との関係の倫理の方が、より普遍的で広いように思えます。
 
 室町時代は農民や工商、町人が自立した時代でもあるのです。農民は「惣(そう)」という自治組織を持ち、職人や商人は「座(ざ)」という組合を持っていた。それらの組織の特徴は、多分に排他的であったが、会員はすこぶる平等な権利を有していた。ルールを犯した会員には、村八分といった制裁を与えてたりしたが、生存に関わる二分は補償された。その権利の平等が、江戸時代も温存された、現在に至ったものと思われます。平等な人々の関係を成熟、育成したと思われます。
 
 村社会を安定させるものは、他の家の人々を大切にすること。村全体を常に考え行動すること。身近な他者を尊重する事、などなどが基本的道徳として育成され、日本人の基本原則担ったのだろうと思われます。村が特権階級の武士に隷属するものではなく、権利を保障された自治組織として機能していたからこそ、会員の諸権利が保証され、それを維持運営する諸規範か生まれたわけです。「世間体」を重んじることは、その諸規範の一つとして育まれてきた。と思われます。
 村は村役人と会員の寄り合いにより決定されていたわけでする。村内の道の整備、水路の確保保全、共有地の維持管理、風水害の整備、脱落者、老人、障害者の保護など、今の行政サービスのほとんどを、名主や庄屋などの村役人と寄り合いの自治組織が行っていたのです。そこに武士は必要以上に介入しなかった。のです。
 
 
 トランプ  アメリカ大統領選挙
 なぜトランプが人気があるのかなかなか分からなかった。いろんな報道を耳にするにつけ、やっとその正体がおぼろげながら分かってきた。
 アメリカ白人社会の最後のあがきですね。半世紀前の公民権運動により、アメリカは白人と他の人種との同権が認められ、社会を上げて人種間の融合に努めてきた。かっては特権を有していた白人は、経済的に、文化的に、そして心理的に圧迫を感じるようになった。裕福な白人層は圧迫を感じない土地に住居を構えるなど対策は出来るが、一般麭白人はそういうことも出来ないので、ストレスをため込むこととなった。
 共和党は元々保守的な白人社会に基盤を持ち、お上品な裕福な白人層が仕切っていたが、トランプの出現により一般の白人層に乗っ取られてしまったと言うことでしょう。トランプスの思い付き的な過激な発言は、理性ではなく、一般白人層の感情に共鳴したのです。アフリカ系のオバマが大統領になり、それらが爆発したとという事でしょう。
 この辺が政治の摩訶不思議な恐ろしさです。理性じゃないのですよね。感情なんです。人々の内面は分からない。だから計算できないのです。今後の展開は分からない。理性的考えれば、クリントン以外に考えられないのだが、理性が通じないのだから、政治は恐ろしい。
 

  ↑prev next↓