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踊ること
  果てしなく遠方に去った恋人へ


東の空に太陽が昇るとは限らない
羊水をたたえた海たちが 悪意を持って
僕を呑み込もうとしているのかも知れない

   踊れ踊れ
   激しくそして優しく
   僕らの胸を打つ鼓動のごとく
   踊れ踊れ
   逞しくそして軽やかに
   生命の泉は果てしなく深く
   そして 枯れることはない

踊れ踊れ
  草達が月の光りの中で囁き合う時
  僕も風に誘われて踊り明かそうか

  僕は 笛を奏でる虫
  詩う風
  舞う月の光り
  そして 不滅
              1977

(backnumber→poem→詩1に掲載してあります)


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 若い頃の詩です。若さの特権でしょうかやはり力があります。水俣病の支援運動を止め本格的に絵を描き始めた頃です。古い友達と縁を切り新たなこと始めたは良いが、お先は真っ暗の時期です。こんな詩を書き人には見せず、心の内で自分発した言葉の羅列にすがっていたことを覚えています。
 日本には言霊信仰というものがありすが、言葉が大量生産され、浪費し、すぐ忘れられるものではなく、その逆の世界。必要最低限の言葉しか発しなければ、一つ一つの言葉に力がこもります。
 当時は饒舌な人々に嫌悪感があって強かったのです。人の言葉に振り回されるのを恐れていたのです。
 今はその饒舌者の筆頭あげれるほどになりましたが、それは年の功と言うことでお許しいただきたい。