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夏葛なつくずの絶えぬ使の、よどめれば、
   事しもあるごと、思ひつるかも          大伴坂上郎女



大刀の後しり、鞘に入野いりのに、葛引く我妹、
  真袖
まそでもち、着せてむとかも、夏草刈るも   柿本人麻呂


をみなへし、佐紀沢さきさはの辺への、真葛原まくずはら
  いつかも繰くりて我が衣に着む
           作者:不明


梨、棗なつめ、黍きみに粟つぎ、延ふ葛の、
  後
のちも逢はむと、葵あふひ花咲く           作者:不明
 かけ言葉 : 黍(きみ)に粟(あは)つぎ→君に逢はつぎ、葵(あふひ)→ 逢う日


高圓たかまどの、野辺のへふ葛の、末すゑつひに、
千代に忘れむ、我が大君かも            中臣清麻呂

 大君は、高円の宮を好んだ聖武天皇
                           以上は   万葉集


葛の風 吹き返したる 裏葉かな           高浜虚子






花言葉    「活力」「芯の強さ」「治癒」






名 前 吉野川上流の国栖(クズ)がくず粉の産地だっことに由来。
くず粉、漢方薬の葛根を取る。
茎、蔓 熱を加え、発酵させ繊維を取り、葛布に加工。
秋の七草の一つ。乾燥させたものは薬用 の葛花 (カッカ)、イソフラボン多く含む。







く    ず              〔まめ科〕
Pueraria ThunbergianaBenth. (=P. hirsuta Matsum)
 各地の山野に普通はえる大形で丈夫な多年生のつる状草本。茎の基部は木質になる。全株に掲色のあらい毛があり、茎はつる状に非常に長く伸びてlOm以上になることもある。葉は大きく、互生して長い業柄のある3出複葉で、頂小葉はほぼ円形、または横に長い広楕円形,側小葉はゆがんだ円形、またはゆがんだ楕円形で,主脈よのひとり下側の業身の方が大きい。小葉の長さ17cmぐらいになり、先端は急に細くなって,短かくとがり、基部は鈍形、または広いくさび形でごく短かい柄があり、全縁, またはしばしば浅く3裂し,時には波状縁になる。葉質は厚く、上面は緑色で荒い伏毛がまばらにあり、下面は白色をおび、白色の毛をやや密生する、秋に葉般から15~18cmの総状花序を立て、紫赤色の蝶形花を密集してつけ、下方のものから順に開花する。花は長さ18~20mm。旗弁は色がうすく、翼弁が濃い。がくは浅紫色、がく型片の長さはがく筒の15~2倍、下側の裂片が長い。雄しべは10,下部はゆ着して1体になる。豆果は長さ5~10cmの線形,褐色の荒い開出毛でおおわれる。根は肥大して薬用となり、また葛粉を作る。葉は牛馬の飼料になる。
 〔日本名〕 クズはクズカズラの省略であるという。一説にはクズは大和(奈良県)の国栖(クズ)であり,昔国栖の人が葛粉を作って売りに来たので、自然にクズというようになったといわれる。〔漢名〕 葛。    
-牧野植物図鑑-






  今回は秋の七草の一つ、クズです。真夏に草刈りの仕事をやったことがあり、一番の大敵が葛の蔓です。生命力の強い植物です。夏の終わりから初秋にかけ、紫色の綺麗な花をつける。根っこから葛粉がとれ、名前の由来となった。漢方薬の葛根湯も根っこからです。蔓から、繊維を取り出し、葛布を作った。強いので、布以外に補強材として使われてきた。  (ま)

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