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避     暑


今年もやって来た、谷川のそば、
  大きな木の下 特等席。
木漏れ日が、草木の緑、分厚い苔に
  まだらな濃淡をつけている。
そして辺り一面を水の音が反響する。
谷を下る爽やかな風が、髪の毛を揺らす。
いつもの場所に簡易ベットを広げ、
  身を横たえコーラを喉に流し込んだ。

ああ!なんと素敵な至福の時。

何処からか、
  まだ頼りなく鳴く蝉も聞こえる。


岩は苔で滑りやすく、
  恐る恐る谷川に降りてみた。
水量は多く、所々で白い飛沫を上げている。
小石が透き通る淀みに足を入れると、
  冷たさが全身を駆け巡った。

上を見上げると、岩の上から、
  真っ白いヤマユリが、風に揺れていた。

2014.7.25 Mamoru Muto
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