prev next







笹の葉はみ山もさやにさやげども
     我れは妹思ふ別れ来ぬれば       柿本人麻呂


はなはだも夜更けてな行き道の辺の
     斎笹の上に霜の降る夜を          
作者不明

笹の葉にはだれ降り覆ひ消なばかも
     忘れむと言へばまして思ほゆ        
作者不明

馬来田の嶺ろの笹葉の露霜の
     濡れて我来なば汝は恋ふばぞも      
作者不明

笹が葉のさやぐ霜夜に七重着る
     衣に増せる子ろが肌はも           
作者不明

                       
以上万葉集


笹の葉に霰あられさやぎて深山辺は
     峰の木枯ししきりて吹きぬ    金槐和歌集 源実朝








 ささは、古代から神降しのための聖なる植物とされていたようです。ささは、歌に詠まれるとき、「ささ」という音と、その風にゆれる音を意識していたのだろうと考えられています。









みやこ ささ              〔ねい科〕
Sasa nipponica Makino et Shibata
 山地の樹蔭に群生する竹である。地下茎は細長く堅く、地中を横に走って繁殖する。稈わらは直立し、高さは Im 内外で細く、分枝することはまれで多くは単一である。 節は著しく膨らみ高い。葉は稈の先端に数個掌状につき、長楕円状皮針形で先は急に鋭く尖り、質は薄く、裏面に細い毛がある。冬期にはクマザサのように葉の縁が白くなる。夏期にときどき開花する。花茎は普通稈の基部から立ち、葉より高くでて小形で短かい円錐花穂をつける。枝は少なく、その先に細長い褐紫色の小穂をつける。小穂は5~6個の花からなり、花は皮針形で尖り8~10mmの長さである。包穎エイ2個で細く小さく、2片は相離れている。護頴は先端尖り、内頴は設顯よりやや知かく背に稜がある。鱗被、花柱おのおの3個、雄しべ6個。頴果は長楕円形で暗紫色。
  〔日本名〕ミヤコザサは都笹で本種が比叡山で初めて発見されたところから名付けられた。
-牧野植物図鑑-








  このコーナーは僕の馴染みのと万葉集に載っているような古い植物を優先しています。冬場は載せる種類が少なく苦労するようななっています。女竹を以前載せたのでべっのものにしょうかとも思ったが、万葉集に沢山の歌を発見したので、載せることにしました。みんな相聞歌、愛の歌ですね。
  「ささ」は葉の触れあう音から名付けられ、学名も「Sasa:」となりました。通う道に生える笹が風に揺れて出す音と、心のときめきが重なり、恋の歌の代名詞になつたのでしょう。ロマンチックな植物です。
(ま)




隈 笹 都笹も冬になると縁が白くなる。



prev next