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蓮葉はちすははかくこそあるもの、
   意吉麻呂
おきまろが、家なるものは、芋うもの葉にあらし  万葉集 

意味: 蓮の葉は、このようにきれいでなくてはならないですねぇ。これに比べたら、家のなんかは、芋の葉みたいなもんですよ。
 当時宴会では蓮の葉に料理を盛った。蓮の葉は高級品で、一般役人の家庭では代用品にサトイモの葉を使ったのではないかと思われます。粋でないものをイモと呼ぶのもこの頃かららしい。


雲霧や芋名月のきぬかつき        貞徳 犬子えのこ


蕪かぶらよりいも名月やひがしやま     安永  玉海集




サトイモの花
熱帯産なので花は咲きにくいのですが、条件が揃えば咲きます。





学名 Colocasia esculenta の意味 主に品種
Colocasia : サトイモ属、
ギリシャ語のcolon(食物)、 casein(装飾)が語源で、飾りにも食用にもできる、という意味。
esculenta : 食用になる
子芋用 : 土垂(どたれ)、石川早生
親芋用 : たけのこいも、頭芋・殿芋
親子兼用:えび芋(唐の芋)、八つ頭、
     セレベス、

ズイキ(葉柄)も大切な食材です。




土垂(どたれ)
石川早生




サトイモに関する風習

芋雑煮
 奈良・京都を中心とした関西地方では、お餅とともに里芋を入れます。

京都北野天満宮:「ずいき祭」
 ずいきで作られた神輿を、収穫されたばかりの里芋や稲の初穂、野菜などで飾って市内を巡行し、最後は天満宮に奉納します。

芋名月
 旧暦8月15日の「中秋の名月」に月見団子や里芋を供えます。このことから「芋名月」とも言われます。

芋煮会
 山形県を中心とした東北地方の秋の風物詩、 秋の里芋の収穫期に、河川敷などの野外で、里芋・こんにゃく・ねぎ・肉などを大鍋で煮て、大勢の仲間と食べる。




たけのこいも
えび芋(唐の芋)





さ と い も   (たいも)            〔さといも科〕
Colocasia antiquorum Schott var. esculenta Engl.
  熱帯アジアの原産で普通畑に栽培する多年生草本。球茎は外面褐色の繊維のある楕円体で地中にあり、その横にそって倒卵形の子いもができる。葉は4~5枚ずつ根から束になってはえ、大きくて高さ1mをこえることがある。葉柄は長く少し一方に傾むいて立ち太くて多肉、汁をタく含み淡緑色。葉面は大せく厚い卵状広楕円形で、長さ30~50cm、青緑色で支脈はやや平行し、先端は短かく鋭く尖る。基部は耳状てで彎入した最深部は葉柄に達せず葉面は楯形となる。耳片は鈍頭で、末端だけが円い。夏にまれに葉鞘の間から1~4の花茎を直立させ、その端にそれぞれ一点つずつの肉穂花序をつけて順々に花が咲く。長さ約30cm、仏焔は淡黄色で多肉、皮針形で内側に巻き、基部から上方の6~7cmの所でくびれ、そこから下部は包葉が緑色でしかも厚い。肉穂花序の軸は包葉の中央に立って、上端に短かい附属物を待ち、上部に黄色の雄花、下部に緑色の雌花をそれぞれたくさんつけている。雄花は4~5個の雄しぺのゆう合体で先端は切形。栽培品種は甚だ多く、トウノイモ、ヤツガシライモ、ヤマトイモ、メアカ、ミズイモ等がある。球茎は重要食品であり、葉柄も食用となる。
  〔日本名〕里イモは、里、つまり村に作るイモの意味、田イモは田に作るイモの意味である。   〔漢名〕 芋。
-牧野植物図鑑-




八つ頭
セレベス




  今回は里芋の雑学です。タロイモの仲間、東南アジア、マレー原産の植物ですので普通は花は咲きませんが、熱帯の条件が合えば咲くのです。縄文時代、島伝えに渡ってきた人々が持ち込んどものでしょう。米の渡来より古いのです。山芋とともに日本人の食生活を支えた重要な植物です。万葉集に一首だけ、それもハスとの比較とはちょっと残念。
(ま)




ずいき・赤

ずいき・緑

唐芋などの葉柄。太くて大きいので、ずいきとして食用にする。皮をむいてゆで、酢のものなどに。八つ頭の葉柄も食用にする。
ずいき専用の「はすいも」の葉柄。柔らかく、えぐ味はない。皮をむき、水にさらしてから乾燥し、保存食に。高知や福岡などが産地。


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