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荒野について


 僕等の世代の十年ぐらい古い人々は、第二次大戦後の荒野を知っている。若い頃は、彼等に対して嫉妬もしたが、津波の破壊された様子など様々な荒野を経験する内に、それは少しずつ無くなって行きました。

 今、僕等は整備された文明とういう町に生活している。嘗ては鬱蒼とした大森林だった所である。僕等はいくら逆立ちしても、今の文明が作り出す世界を離れて生活することは出来ない。でも、荒野を想像すること、町が破壊された姿、また、町ができる以前の姿を想像することはできる。

 荒野を想像すること、そしてそこに立ったと想像することは、僕らの生きている世界が健全であるか、そうでないか、考えるうえで大切です。古代ので都市が人口増加と過剰な開発により砂漠化を招いたように、人間が荒野を忘れた時、大きな力により文明は滅ぶのです。

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