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 み佩かしを、剣の池の、蓮葉はちばに、溜まれる水の、ゆくへなみ、我がする時に、逢ふべしと、逢ひたる君を、な寐ねそと、母聞こせども、我が心、清隅きよすみの池の、池の底、我れは忘れじ、直ただに逢ふまでに 
作者: 不明
 意味: 剣(つるぎ)の池の蓮(はす)の葉にたまった水がどこにゆくのか分からないように、私もどうなるか分からないでいるときに、「逢うべきですよ」と告げられたので逢ったあなた。そのあなたと「寝てはいけないよ」と母が言うけれど、私の心は清隅(きよすみ)の池の底にじっとしているように、あなたのことは忘れません。じかにあなたに逢うまでは…
 
 
 
 
 勝間田かつまたの、池は我れ知る、蓮はちすなし、
しか言ふ君が、鬚ひげなきごとし        不明(女性)
 
 意味: 勝間田(かつまた)の池は、私も知っています。蓮(はす)はありませんよ。そのようにおっしゃるあなた様にひげがないのと同じように。
 
 
 
 ひさかたの、雨も降らぬか、蓮葉はちすばに、
溜まれる水の、玉に似たる見む         作者: 不明
 
 意味: 雨が降らないでしょうかね。蓮の葉にたまった水が玉のようになるのを見たいと思います。












    はす(はちす)     〔すいれん科〕
Nelumbo nucifera Gaertn.
(=Nelumbium speciosum Willd.)
 
 非常に古い時代に支那から渡って来た多年生の水草で、今は広く各地の池や沼、或は水田などに植えられている。原産はインドらしい。地下茎は節が多く、白色で、長く水底の泥の中をはい、疎に分枝し、細長い円柱形であるが、秋の終り頃、末端部がはなはだしく肥厚し、いわゆる蓮根となる。葉は地下茎から出て、柄は長く、直立して水上に出る。葉耳は扁円形でたて形、両側がやや凹んで、先がわずかに凸形、上面はくぽみ、径40cm前後、白味おびた緑色で洋紙質、葉脈は四方に放射している。葉柄は緑色、円柱形で短いとげがまばらにあり、ざらざらしている。夏、長く直立した花柄の先に紅色、淡紅色、白色などの大きく美しい花をつける。がく片は4~5個で小形である。花弁は多数、倒卵形で縦脈が多い。おしぺは多数、やくは黄色。果実は楕円形、果肉は堅く、暗黒で、中に肥厚した白色の子葉と緑色の幼芽(苦?)がある。この果実は肥大して短倒円錐形上なり海綿状になった花托の上面の平らな部分にある孔の中に入っている。普通蓮根を食用とする。種子も食ぺられる。
〔日本名〕ハスは古名の蜂巣(ハチス)の略で、果実の入った花托のようすが蜂の巣のようであるからである。
〔漢名〕蓮。                                -牧野植物図鑑-
 








生きた蓮には大した思い出はないのだが、仏具や、石碑に描かれた蓮の絵は心の中に残っている。父がアルバイト的に石屋をやっていて、坊さんに描いてもらった字や蓮の絵を大事そうに神棚にに置き、糊で磨いた石に張り付け、ノミで刻んでゆく様を見ていたからかも知れない。
 次は熊本の辛子蓮根ですかね。まっ黄色いからしが詰まっていて、初めて食べたときは驚いた。思ったほど辛くはないので安心したが、好きな辛子は胡椒、唐辛子、山葵、和辛子の順で、驚いたことだけはよく覚えている。(まもる)


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