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不完全性定理
 
 
   家を出て始めて、親の愛や家族の優しさ気付く。
 
   故郷を離れて、山河の美しさや人情を懐かしむ。
 
   外国に住み初めて、
       己の国の豊かさやおかしな歪みに気付き、
               自分の民族性に目覚める。
 
   宇宙に行けるようになり、
      この星の奇跡的な美しさを眺め、
         無数の植物や動物に支えられた人類の姿を知る。
 
 
 
   こんな当たり前のことをキチンと証明したのは、
             二十世紀も後半になってからである。
      古代エジプトに幾何学という論理学が生まれて以来、
              なんと8000年もの時間を要した。
 
   そう、人間は妄想の動物。
      自分は、そんなアホらしいことに陥らないと信じ、
      グループ内だけの勝手な論理をかざし、
      自分の国は、世界一などと思い込み、
            己の本当の価値は分からない。
 
5/21 Mamoru Muto
 
 
 数学は論理の体系です。矛盾のない壮大な体系を背景に人間は「科学」を発展してきました。僕らはその「科学技術」無しには一日たりとり生きてゆけません。それなのに、その体系の前提になる「公理」を説明できないのです。あるひとつの公理を数学的に証明しようとすれば、別の公理を持ち出さざるを得なくなるのです。そのことを証明したのが「不完全性定理」です。
 現代科学文明は客観的説明の出来ない「暗黙の了解」の上に成立しているのです。その前提は絶対的なものではないと言うことです。崩壊する可能性を秘めたものでもあるのです。これは、宗教と違って素晴らしいことです。己の体系の限界の可能性を示して初めて、その体系は生きるのです。

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